「米国の上着」と「中国の下着」をまとう韓国人:日経ビジネスオンライン

--グリーン氏の説得は効果があるでしょうか。
 
鈴置:効果は薄いと思います。下手すると、韓国人が怒り出すかもしれません。1997年の民主化に関し、グリーン氏は「米政府が当時の全斗煥(チョン・ドファン)政権に圧力をかけた結果」と書いています。でも、韓国人は自らの手で成し遂げたと信じています。
 
日本と比較し、自分が上にあると思いたいからでもあります。「日本は米国に戦争で負けて民主化させられた。しかるに我々は自力で民主化した。故に日本人よりも韓国人が優秀である」というのが韓国での一般的な見解です。
 
ことに自信をつけた最近は「短い期間に民主化と経済成長を同時に成し遂げた世界で唯一の民族」という自賛の言葉が、新聞での常套句となっています。

自力で日本軍を追い出して独立を勝ち取れなかったという負い目が裏返しとなって、こういう変なプライドの高さに繋がっているんでしょうね。 なんだか可哀想に思えてきました。

韓国・中国と同じ土台で議論が出来ないのは、彼らが法治国家ではないからだそうです。

--世の中に「完全な法治国家」は存在しないでしょう。
 
鈴置:もちろんです。しかし法治国家には「法律に則って国を運営すべきだ」という合意なり建前が最低限、必要です。しかし韓国人には「法治が必須」との意識はないのです。
 
例えば、産経新聞ソウル支局長の記事が大統領への名誉棄損だとして検察が取り調べた事件です。この記事はほぼ朝鮮日報の記事を引き写したものです。朝鮮日報も同罪のはずですが、お構いなし。
 
そして私が見た限り「法律の恣意的な適用」を問題にした韓国メディアはありませんでした。言論統制につながると懸念した韓国紙は少しありましたが。(中略)
 
法治を目指さないのは国内問題でも同様です。旅客船「セウォル号」の沈没事件で、与野党、法曹界、被害者の遺家族の3者で真相調査委員会を作ることが、国会での話し合いで決まりました。
 
この委員会は委員の推薦枠の数から見て、遺家族の言い分が支配的になるのは確実です。しかし遺家族の多くはそれでも納得しませんでした。この委員会に捜査権と起訴権が与えられていないとの理由です。
 
捜査権などの付与に関し、与党や法曹界は反対しました。刑事法で自救行為、つまり「被害者が加害者を裁く」ことは禁じられているからです。分かりやすく言えば「人民裁判による復讐はまずい」ということです。それが法治国家の常識です。
 
しかし、左派系紙は遺家族の主張を支持しました。野党も一時期は賛成しました。韓国の警察や検察は信用できない、というのです。

だから日韓基本条約で対日賠償請求権を放棄したにも関わらず、韓国最高裁が日本企業に対する賠償責任を認めるなんてことを平気でやる訳ですね。 話が通じないのも当たり前です。

--なるほど。確かに法治国家を目指す国とは言い難いですね。
 
鈴置:儒教に詳しい京都府立大学の岡本隆司准教授は「儒教国家では法治よりも徳治が重視される」と説明しています。中国なら皇帝、韓国なら王の徳ある判断による政治が、法による統治よりも正しいのです。
 
ご存じのように現実には法治とは程遠い状況です。しかし、あの厳しい人権状況の中、普通の中国人から「法治を目指せ」という声が高まっているわけでもありません。

タイも最終的に王様に裁断してもらう点で似てますが、あそこは儒教じゃないですね。

ところで韓国は大統領経験者が退任後に逮捕されたり自殺したりしますが、あの「王殺し」の習慣も儒教と何か関係があるんでしょうか?