新型ウォークマンは「新しい何か」を提供しているか?

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新型ウォークマンは「新しい何か」を提供しているか? - 梅田望夫・英語で読むITトレンド

そう考えるとiPodの米国での人気が日本よりもまだ圧倒的に高い、というのも頷ける。日本ではこのような「細切れの時間を使って自分の世界を作るための手段」として携帯電話という素晴らしいソリューションを既にもっているため、いまさらその選択肢を増やす必要がないからだ。米国人はとにかく良く運転をし、よくジョギングをする。どちらも携帯電話を見つめながらではできないことだ。これまで「環境を作るための音楽」を自分で編集するのにCDやMDでは手間がかかったが、これをオンザフライにいつでも親指くるくるとすれば簡単にできるのが、iPodの革命なのだろう。

電車通勤をするようになって、以前よりもイヤホンして音楽を聴いている人が減ったように感じました。
その代わり、携帯をいじっている人は目の届く範囲で常に10人以上います。 外国人から見たら、不気味に見えるかも。

続き。

ソニーの新しいウォークマンは確かに素晴らしいハードだが、初代のウォークマンが実現した、革命を起こしてくれる「新しい何か」を提案してはくれていない。iPodの後を追いかけているだけと言われてしまうのはその辺りに原因があると言ってもいいだろう。もちろん、ビジネスとしてどちらが成功するかは結果が出ないと分からないし、ブラウザやOS、ビデオテープの規格など、市場がわっと塗り変わるようなことが起こるのがこの業界だが、マーケットを作る立場は常に革命的であることを求められる。

でも、iPodだってそんなに革命的とは思わないけどね。 せいぜいカセットテープのウォークマンがT型フォードだとしたら、MDウォークマンが初代VWビートルで、iPodはホンダ・シビックか? でもクルマはクルマだし、イヤホン音楽箱はイヤホン音楽箱だよ。

誰もが、自分が何かを見過ごしていないかとひやひやしながらスティーブジョブスに注目するのは、Appleがこのマーケットメーカとして他の追従を許さないことの証明とも言えるだろう。今度こそ、先行逃げ切りが出来るか、それに注目だ。

そう、それこそまさに重要な点だろう。

ちょっと前に、液晶iMacがひっそりと終焉を迎えたという記事が出ていた。 今や誰がそんなこと気にかける?
5年前のiMacに対する注目は、今のiPodに通じるものがある。 iMacが残したものは、PCデザインの向上だった。 Appleは市場を作ってきたが、これまでことごとく後から来たライバルにそれを奪われてきた。

シビックはいいクルマだが、残念ながらカローラを選ぶ人の方が多いのだ。