音楽ライブラリをWAV形式に変更したのは、将来的にDSDが普及するのではないかと思うからです。
藤本健のDigital Audio Laboratory 第204回:ついに登場したDSD対応の新「VAIO」【ハード編】
ところで、このCD再生についていうと、単にチップの性能がいいというだけでなく、もうひとつすごい技として、CDからリッピングしたWAVファイルなどをDSDへ変換するDSD Directというツールが用意されている。
先日ティアックが発売したSACDトランスポート「P-03」と同様のことがVAIOでできてしまうのだ。WAVをDSDにソフトウェアで変換する理由は、時間をかけて高精度な演算でDSDへ変換することで、再生音質を大きく向上させることができるからだ。
開発担当者によると、「このDSD DirectではPCMの信号を30,000タップのFIRフィルターで高精度演算し、そのままDSD信号にすることにより、情報の欠落を極小におさえています。これにより、もともとPCMの持つ表現力が最大限に発揮された状態でDSDファイルに変換されます。これを直接Sound Realityでアナログ出力できるので、非常に音質を上げることができます。P-03も考え方は同じですが、DSD Directでは演算にPCのCPUを使い、さらに時間をかけることで、演算精度的には上だと思います」とのこと。
P-03がDSDのDAコンバータなしで126万円であることを考えると、まさに画期的なシステムといってもいいだろう。ただし、P-03はリアルタイムでPCMをDSDへ変換するのに対し、DSD Directでは実時間の5倍以上の時間をかけて変換するという、根本的な性格の違いがある。
たとえば1時間のCDアルバムを変換するのにCPUフルパワーで演算させて5時間もかかるということになる。またファイルサイズ的にはWAVファイルのちょうど4倍になるとのことだ。一度変換しておけば、後は普通に再生できるのだが、この手間がひとつのネックではある。
今はCPUを使っているので変換に時間が掛かるけど、CELLのようにストリーム処理に特化したマルチコアチップが載るようになると、再生時にリアルタイムで変換できるようになるんでしょう。 そうした時に、CD = WAVが基本になるんじゃないかなと。 mp3を後からいじくりまわしても、いい音にするのは無理だしね。