死角:医療ミスを追う/1 遺族 訴状見て妻はひと月後旅立った
「どこをどう切ったらこんな姿になるの」
深夜のICU(集中治療室)で光子が叫んだ。
光子は膨らんだ剛の顔を抱きしめ、目から漏れる血涙を何度も何度もぬぐった。剛の顔はみるみる深紅に染まった。剛の体に突き刺さる管は人工心肺装置につながれていた。光子は異様さを感じた。「だれか夫を写真に撮って」「何で助けてくれなかったの」
雅之も血に染まった手術着姿の主治医(40)に詰め寄った。「父は生きているんですか」「寝たきりでもいいから、生きられるのですか」
主治医は首を振った。
「脳は機能していません。人工心肺で内臓だけが動いている状態です。やがて内臓の動きも止まります。このままだと内臓が破裂する可能性もあります」
いま毎日新聞朝刊の埼玉のページで連載されている、医療事故を追った連載なんですが、すごいです。 毎日欠かさず読んでいます。
毎日新聞は、良質なルポルタージュが多いですね。
心臓のバイパス手術の際に、誤って心臓に傷をつけてしまい、結果として大動脈かい離が起こってしまい、患者さんは亡くなられたということです。
大動脈かい離って?と思い調べてみたら、心臓から出た大動脈の内膜と外膜が剥がれてしまう症状だということです。 緊急手術の死亡率が約20%で、大動脈の手術に熟達した病院でないと難しい病気みたいです。
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