子供は差別化の武器

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下流社会』の著者、三浦 展氏へのインタビューですが、なかなか面白かったです。

ベストセラー『下流社会』著者、三浦 展氏に聞く(前編) - あいはらひろゆきの「家族ブランディング」 - nikkeibp.jp

三浦:『下流社会』でも、「結婚すると中流」というか、「中流になれる人だけが結婚する」と書きました。今、下流の人は「できちゃった婚」でしか家族をつくれない。だから、23歳で子供が2人みたいなタイプと、33歳で結婚して、4、5歳の子供がいて40歳近いよっていう、ある意味、上と下に二極化しています。昔だったら「中流」が「中流という生活」を再生産できたのが、今は、「中の上」でないと再生産できない。

相変わらずバッサリと斬ってます(汗)。

まだまだ続きます。

三浦:一方で、年収500万ぐらいで中学受験に熱心な人がいるというのは、中流の再生産をしたくて無理をしている。昔なら無理して家を買うだけでよかったけど、家を買った上に教育も無理しないといけないという状況がある。家を買わなくていい人は別ですけど。自営業の層は結構そういうところがあると思う。国道16号線沿いの自動車整備会社とか。多少収入が低くても、実は親の資産があって、親の近くに住んで、隣近所もまだ仲が良い。

ウチの嫁の実家(やっぱり自営業)あたりは、そういう人が多いです。 自営だから、ずっと地元密着。 近所付き合いもしっかりしてますし。

あいはら:そういうよりどころしかないのかもしれない。話は変わりますが、ピクニックみたいにお金を使わずに、ヤマダ電機で1日楽しむ家族がいるらしいんですよ。そういう層は下流なんですか?
 
三浦:それは下流化した中流だけど、やっぱり中流だろうな。一生懸命、家族しようとしてるから、中流だと思う。それが面倒くさくなると、もっと個が肥大化してしまう。「子供のために面倒くさいことをしたくない」っていう自分第一の親たちが、本当の下流。そうなるとでき合いのものしか食べさせない。ヤマダ電機にお弁当持って並ぶのは微妙だけど、自力で家族をまとめようとしている限りは中流かな。
 
今は母親が崩壊していて、結婚して子供ができても個が捨てきれない人も少なくない。逆に、子供にコンビニ弁当だけ与えてパートに行かなきゃならない低所得層もある。24時間体制の夫婦共働きですれ違っている人、ローンを払うために時給の高いジャスコの深夜枠で働いている母親なんて大勢いる。水曜の昼間に船橋あたりへ行くと、家族連れが大勢いる。土日に働く人が多いからです。

「結婚して子供ができても個が捨てきれない人」も身近にいますよ。 でも、それを責めても仕方ないのかなとも思いますけどね。 その人の人生だし。

三浦:やっぱり教育が最後のブランド。
あいはら:まして子供をつくれない下流の人たちが増える中で子供は差別化の武器だし。

最初から「差別化の武器」として子供を作る人はいないだろうけど。 でも、嫁の友達の話とか聞くと、地域のコミュニティーの中では「誰それ君のママ」という肩書きで認識されてるみたいなので、子供が自分のアイデンティティーになっちゃうんでしょうね。

例えばフリーター問題。下流以前に息子をフリーターやニートにしたくない。中高生の親に聞いても、「うちの子供は大丈夫かな」って言う人は多い。やりたいこともないしって。半分冗談でも、「うちの息子は大丈夫」って言う人は意外にいないんですよね。
 
じゃあそのためにどうするかってときに、ただ東大だ、慶應だって言ってもダメ。ただ「業績を上げろ」って会社で言われても自分が働く気にならないのと同じ。どんなインセンティブを与えて、何が面白いと思わせたらいいのか。自分が使われる立場で考えれば子供もそうだろうなと考える。自分だって業績だけで会社に評価されたくない。家族は数字だけで評価できないからこそ、魅力がある。そこに気づくべきかもしれない。

でも、「子供は親の所有物」みたいな認識の人もいるから、部下に対するようには冷静ではいられないのでしょう。 「独立した、対等の個人」として尊重しないとね。