本田雅一の「週刊モバイル通信」 : そもそもリチウムイオンバッテリは燃えるもの
この連載の中でもリチウムイオンバッテリに関する取材記事を掲載したことがある。この時、取材先の日本IBM担当者が繰り返し話していたのが「リチウムイオンバッテリは、本来、燃えるもの」という話だ。
無機溶剤を用いるニッケル水素バッテリなどは、液漏れを起こしても、異常加熱をしても、発火することはない。しかしリチウムイオンバッテリでは有機溶剤が用いられているため、比較的容易に発火する。ニッケル水素がセル単体でも販売されているのに対して、リチウムイオンバッテリが、セルと充電制御回路をひとまとめにしたシールドされたパックの形で用いられるのはこのためだ。
そう言われても、安心できないものはできないのですが。
現在市販されているハイブリッド車に積まれている電池がすべてニッケル水素バッテリなのは、自動車メーカーが最も恐れる”マルF”が起きる可能性を排除できないから。 今回の騒動で、自動車にリチウムイオン(あるいはリチウムポリマ)バッテリが採用されるのは3年くらい延期になるでしょう。
でも、いずれ発火の危険性を克服して、自動車にも積まれる日が必ずやってきます。 今の自動車だって、発火しやすくて危険なガソリンを動力源にしているのだから。