メルセデス 2種類のハイブリッドシステムを市場投入へ

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DrivingFuture - 2種類のハイブリッドシステムを開発し市場投入へ メルセデスの次世代パワートレーンが目指すもの

今回、発表されたハイブリッドシステムは2種。ひとつは、2年前のデトロイトショーでGMとの共同研究が発表された「2モード・フルハイブリッド」だ。構造は、駆動配分やリダクションギアとしての役割を果たす遊星ギアと2つのモーターを持つなど、トヨタ式と非常に似ているところが多い。ただしプリウスの2つのモーターは、片方を発電用、もう一方を駆動用と使い分けられるのに対して、メルセデスの方式は速度域によって、大小2つのモーターを使い分ける方式。またクラッチが2つ備わっているのも、トヨタとの大きな違いだ。このクラッチで低速と高速、2つのモード切替を行ったり、エンジンを停止するモードに切替もできる。プリウスで指摘された高速走行時のパワー不足と燃費悪化が改善されることが、最大のメリットだ。

「速度域によって、大小2つのモーターを使い分ける」って、意味あるのかなぁ? 中間加速や高速道路での登板時ってことなのかしらん? 「高速走行時のパワー不足」ってのは、メルセデスなら最低でも3Lクラスのデカいエンジンと組み合わせるだろうから、ハイブリッド以前の話として1.5Lのプリウスとは比較になんないでしょう。

個人的には、高速燃費を向上させるのに有効なのは、気筒休止エンジンだと思うけどね。 一定速度でクルーズしてる時は、大きな排気量は必要ないのだから。 今はホンダでもV6で3気筒休止しかしてないけど、これを2→3→4→6にするとか、L4で2→4にするとか。

もうひとつは、「ISG=インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター」と名付けられたシングル・モーター方式だ。こちらは、1つのモーターを回生と駆動用に使うため、同じ1モーター式のホンダのハイブリッドシステムと比べるとわかりやすい。最大の違いは、ホンダ式が従来のフライホイールの位置にモーターを取り付けるのに対して、「ISG」はエンジンの反対側、つまりAT側にモーターが配されている。
 
ホンダ式がエンジンとモーターが常に同軸上で回転し続けなくてはならないのに対して、「ISG」はクラッチでエンジンとモーターを切り離すことができる。また従来の7速ATの内部にモーターを組み込むことができるため、7Gトロニックとの組み合わせを持つユニットなら、すぐにでも搭載可能。ホンダのように搭載スペースを稼ぎ出すために、一回り大きい北米仕様のアコードをベースに選んだり、シビックに積むために小さめのモーターを選んだりする必要がない。

北米アコードも国内アコードもFRサイドフレームの左右の間隔は変わらないので、「搭載スペースを稼ぎ出すために、一回り大きい北米仕様のアコードをベースに選んだ」訳じゃないよ。 確かに横置きFFなんで、モーターの厚みが増えると搭載が大変なのは事実だけどね。

「クラッチでエンジンとモーターを切り離すことができる」ってことは、モーターだけでも走行可能なのかしらん? じゃないと大して意味ないよね。 ちなみにエンジンとモーターが直結のシビックHVだって、条件はかなり限定的だけどモーターだけで走行は可能です。

今回のワークショップでは、3.5リッターV6エンジンに「ISG」を組み合わせたテスト車、「CLK500 ISG」に試乗することができた。ベースとなる3.5リッターユニットの最大トルク350Nmに加えて、発進時には最大となるモーターのアシストが加わることで、走り出しは力強い。モーターの最大出力6〜8kWは驚くような数値ではないが、発進時にモーターが最大250Nmのトルクを発生することが加速感には効果絶大。クルマが停まると、すぐにアイドルストップし、ブレーキから足を離せば自動でエンジンが始動する。エンジン停止中にパワステやエアコンなどで大きな負荷がかかった場合には、エンジンが始動する。
 
このふたつのハイブリッドシステムは、前者がアメリカ市場を中心に大型SUVなどに搭載され、後者はヨーロッパの走行モードに重きを置いて開発されているという。その他、スマートにはアイドルストップ機構を積む予定だ。

「小さめのモーターを選んだ」と言われてしまったシビックHVは 15kW、103N・mだから、特性をどう振るかは別にして、モーターの容量は同じくらいじゃないのかな? エンジンの排気量(シビックHVは1.3L)からしたら、メルセデスの「ISG」はずいぶん小さいモーターだね。
「インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター」の名前の通り、昔のトヨタ・クラウンの「マイルド・ハイブリッド」みたいな「アイドルストップ用の大きなスターターモーター」というのが本来の姿なんでしょう。

どちらにしても、プリウス誕生から10年、インサイト発売からでも8年が経つというのに、この程度のシステムしか出てこないというのが、欧州メーカーの開発の遅れを物語っているね。