BDのキーマン・小塚雅之氏が語る「勝因」

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2008年の次世代DVD戦争を総括する(その3) BDのキーマン・小塚雅之氏が語る「勝因」 - デジタル家電 - Tech-On!

民生用プレーヤーの争いに加えてBlu-ray Discの勝利に貢献したのが,やはりプレイステーション3(PS3)です。Warner社はこれまで「PS3の台数は,規格争いには関係ない」と言っていましたが,これに対してソニーが応えたんでしょう。PS3にリモコンを付けたり,パッケージ・メディアを10枚付けたりと,Blu-ray DiscプレーヤーとしてのPS3の魅力をプロモーションしました。
 
東芝の敗北を決定付けたのは,Black Fridayにおける「99米ドル」という値付けだったのではないでしょうか。あの値付けでは,誰もHD DVDプレーヤーに参入する気をなくします。HD DVD陣営にとって最後の希望が,中国メーカーの米国市場への参入だったはず。ですが,販売価格が99米ドルでは,東芝以外に誰も参入できるはずがありません。

低価格プレーヤーが出るまでの間、北米でBDを支えたのはPS3なんでしょうね。

「パッケージよりネットの時代」という指摘に対しては」、

――インターネットを経由したネットワーク配信事業の台頭に,脅威を感じていますか。
 
小塚氏 「Blu-ray Discはネットワーク配信に負ける」なんて議論がありましたが,それは暴論というものです。我々が付き合っている映画会社の方たちは「(ブロードバンド環境が普及した)日本ならともかく,数百kビット/秒の環境が多い米国ではまだまだ無理」と言っていますよ。
 
(中 略)
 
そもそも,ネットワーク配信とパッケージ・メディアは,映画会社にとって事業区分が異なります。映画会社は,まず劇場公開の事業で収入を得た後, DVDやBlu-ray Discといったホーム・ビデオ事業で売り上げを稼ぎます。この二つの事業で収入の大半を得た後に手がけるのが,ビデオ・オン・デマンド,ペイ・パー・ビュー,テレビ放送へのコンテンツ提供です。ネットワーク配信は,このうちビデオ・オン・デマンドに属する事業です。ネットワーク配信とパッケージ・メディアは,サービスの開始時期や顧客層が異なるわけです。我々が関わるホーム・ビデオ部門の人に「映画をまるごとダウンロードする」という事業にリアリティを感じていません。まあ今から7~8年後なら分かりませんが。

自分を含めて、外野席で面白おかしく囃し立てる輩はともかく、実際に「商売」している人にとっては当然の意見でしょうね。