次世代DVD戦争が奪ったもの - 日経エレクトロニクス - Tech-On!
この当時の光ディスクの技術者には,光ディスク技術の発展を担う同志として,会社を越えた連帯感があったという。長年にわたる学会活動や規格化作業を通じ,技術者同士の気心は知れていた。「最後の民生用光ディスクとして,最先端の技術を投入した究極の光ディスクを世に送り出したい――」。これまでCD,DVDと光ディスクの発展に寄与した技術者たちの思いは,いやがおうにも高まった。
この高揚感に水を差したのが,規格化団体の正当性という政治的要因に端を発した,次世代DVD規格の分裂だった。2002年以降,各陣営は映画会社の支持を取り付けるため,互いが互いの技術を非難しあう「舌戦」をヒートアップさせた。光ディスク学会に参加した技術者からは「異なる陣営の技術者とは顔を合わせづらくなった」「一方の陣営の発表には,同じ陣営の技術者からしか質問が出なかった。両陣営の間で技術の交流が途絶えてしまった」という嘆きの声が聞こえた。
「究極の光ディスク」とはBD関係者の口からよく聞かれた言葉ですが、東芝陣営から聞こえてくるのは「DVDのディスク製造装置転用できるので複製コストが安い」とか「録画の主流はHDD、光ディスクに残す人は限定的」とか「コーデックが進化するから1層15GBで十分」とかそんな話ばかりでした。
再び「光ディスク絶体絶命」から引用ですが、2000年頃までは東芝の山田主席技監も柔軟な考えを持っていたようです。
光ディスク絶体絶命 :東芝のHD DVD撤退~報道特設サイト- Tech-On!
「もし書き換え可能なディスクで,片面単層25Gバイトが必要なら,技術的にはNA0.85の対物レンズを使う薄型カバー層は理にかなった方式だ」(東芝の山田氏)。
結局は、東芝が不純な動機を抱いて志を捨てたことが、こういう結果を招いたのだと思います。