「均一さ」へのこだわり

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「違い」が分かるのは誰か - 材料で勝つ - Tech-On!

見積もりや試作を経て,中国工場で量産が始まったが,日本に送られてきた最初のロットの部品を見て,その筆者の知人である日本人技術者は驚いた。2部品の接合部が指定した公差の範囲外のものが多かったのである。公差範囲外だと,二つの部品はねじ止めできないはずだが,数千個ずつ造った二つの部品の中から,寸法が合いそうな二つの部品の組を見つけ出して,公差の範囲外でも無理やりねじ止めして出荷してきたのである。(中略) 結果としては,日本の発注元はその公差範囲外の部品を受け取らず,数万個という部品が廃棄処分になったというのである。
 
本社の米国人および現地の中国人はその間,けっして悪意があったわけではなく,「なぜ,日本人はそんな細かいことにこだわるのだ」と唖然とした様子だったと言う。彼らには,公差範囲内と範囲外の「違い」が見えなかったのである。
 
その日本人技術者は現在は別の企業に転職しているが,「中国の製造業が脅威だとか言われるが,その時の経験から言うと,理解できない。ものづくりの基本を学ぼうという姿勢も顧客の意図を理解しようという気もなく,とにかくちゃらんぽらんだった。ものづくりの力という意味では日本には100年たっても追いつかないだろうと思った」と言う。あれから5年が経過しているので状況は変わっているだろうし,一部の特殊ケースなのかもしれないが,顧客の意図を汲み取って,寸法などの指標をある範囲内に収める「均一さ」を追求する姿勢ではまだかなりの差があると思われるのである。

中国へ行ったことはありませんが、アジアでものづくりの現場に携わっていると、似たような場面に遭遇します。

たとえば公差が100mm +0,-0.05 だったとして、日本人なら設計者の意図を汲んで、100mmに出来るだけ近いマイナス数値を狙って加工しますが、外国では公差範囲の真ん中(この場合は、-0.025)を狙います。 これでも公差を守っているだけマシですが。
公差を付けない寸法でも、一般公差といって数値の大きさによって許容公差が決まっていますが、これも日本より外国の方がアバウトですね。

日本人も最近は壊れてきてはいますが、このあたりは国民性(気質)に深く根ざしているので、しばらくは変わらないんじゃないでしょうか。