「トレードオフの概念は日本に無いのか」 三菱東京UFJ銀のシステム一本化報道に思う:NBonline(日経ビジネス オンライン)
これらのトラブルの程度をどう見るべきか。三菱東京UFJ銀が1日に処理する取引件数はざっと1億件、このうちATM取引は400万件である。2万262件を1億件で割ると、12日の取引未処理率は0.02%となる。13日以降、問題無く動いていけばこの比率は下がっていく。10日間動けば0.002%である。ATM取引だけを見ても、400万件のうち2万件だから0.5%。こうした数字が大きくて問題だ、と筆者はとても言えない。
(中 略)
以前書いたことがあるが、多少のトラブルが起きても仕方ないと居直っているわけではない(関連記事「システムは時には止まる」)。トラブルが無いようにシステム開発の現場はできる限りの努力をするのではあるが、トラブルをゼロにすることは不可能だと言いたい。情報システムのソフトウエアとデータには無限と言ってよいほどの組み合わせがあり、すべてをテストすることはできず、今回のように動かしてみて出てきた問題を見つけ、修正していくしかない。何が何でもゼロにしろ、と命令すると、現場が疲れコストがかさむばかりだ。テレビや新聞は、三菱東京UFJ銀行のATMだけではなく、セブン銀行やゆうちょ銀行のATMもすべて止めて接続テストを繰り返せ、とでも言うのだろうか。
言ってる事はすごくよく分かる。
でも「トラブル発生率を0.002%から0.02%まで許容することで、システム開発費を数百億円節約しました」と言われても、わざわざATMまで行って入金できなかった人にとっては、「それでオレに何のメリットがあるというんだ!?」と思うでしょう。 開発費用を削減した分、ATM手数料を無料にするとか、預金金利を上げるとかすればいいけど、日本の金融機関はやんないだろうね。
米国産牛肉の全頭検査もそうだけど、基準を緩和した場合に「まあ、いいか」となし崩し的にモラルが低下するのが怖いのですよ。