「自動車が売れない」理由とは?

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自動車が売れない - 産業動向 - Tech-On!

このように売れない原因を考察していくと本質が見えてくる。それは,自動車が壊れなくなったということだ。現在,自動車の平均使用年数は12年程度である。10年前は9年であった。確かに古い自動車がたくさん街を闊歩している。リコールが社会問題となり,自動車業界は信頼性の向上に力を入れてきた。その成果が自動車の長寿命化である。技術者としては誇りたい所だが,信頼性向上が自動車の販売台数の低下の主因なら手放しには喜べない。

確かに昔は初回の車検で買い換える人も珍しくなかったし、2回目の車検で買い換える人は半数を超えていたんじゃないかしら? 今や「平均で」10年以上だもんね。

で、自動車メーカーの活きる道ですが、

具体的には自動車メーカーによる囲い込みが進むことになる。現在,ディーラーの利益は新車販売5割,点検5割である。ここで,長期保有化が進めば前半の利益が長期的に減少することは避けられない。つまり,後者に重心を移さざるをえない。参考にするのは複写機メーカーの戦略である。複写機を赤字で売って,紙とトナーで設けるビジネスモデルである。
 
お客様を販売店に囲い込むために,購入時に次回車検までの点検パックを抱き合わせることはほとんどのディーラーが行っている。さらに,Volkswagen系列ではテスターを軸にした囲い込みを行っている。

新車が売れなきゃ、カスタマーサービスで儲けるしかありません。
そういえば昔、フォードのジャック・ナッサーCEOが、そんなことを言ってましたよね。

NIKKEI NET 成熟産業「進化論」

米フォード・モーターが自動車メーカーの名を捨てる日が来る――。自動車アナリストはこんな仮説をたてる。背景にあるのはジャック・ナッサーCEO(52)のネット戦略だ。
 
「成熟した自動車業界で新たな株主価値を創造するには、ネットを含むサービス事業へのシフトしかない」。こう語るナッサー氏は、自動車部品・資材の企業間電子取引事業など、次々とネットビジネスへの進出を決断してきた。
 
一方、ブラジルでは自動車工場の運営を外部に委託するなど、工場・労務管理の切り離しにも踏み切った。「100年後のフォードは消費者サービス企業」とまで公言するナッサー氏にとって、もはや伝統的なメーカーの概念は意味を持たない。

もっとも、フォードの「転身」は頓挫して、ナッサー氏は解任されてしまったのですが。

ところで元の記事に戻ると、話はOBDのことに。

昔は不具合があれば,メカニックがボンネットを開けて点検した。今は違う。まずは,テスターである。最近の自動車はCANと呼ばれる車載LANが搭載されている。OBD(On Board Diagnosis,車載故障診断装置)と呼ばれるが,各部品の不具合情報は車載LANに流されている。だから,テスターを接続すると,不具合の部品が表示される。後は,これを交換すればよい。
 
しかし,街の修理工場や個人で修理してもインパネの不具合警告灯は消えない。LANは共通でも,内部に流れるメッセージは各社固有である。そのため,警告灯を消すには専用のテスターが必要となる。そして,それを備えているのは正規ディーラーだけである。

うーん、囲い込み目的という不純(?)な動機で、デジタルテスターを門外不出にしている訳ではないんだけどな。

デジタルテスターは新機種が出るたびに、検査項目などを追従してアップグレードしていかないとだし、イモビや故障履歴の情報も変更出来てしまうので、正規ディーラー以外には出せないんだよ。