派生モデルを作らせたら、フィアットはなかなかすごい

“トヨタ型ものづくり”復活の日:日経ビジネスオンライン

藤本 90年代にクライスラーの立て直しをした立役者が、嫌気が差して皆辞めてしまった。フィアットの場合は、彼ら自体の財務力がまだ弱い。しかも、彼らは自らのプラットホーム(クルマの基礎となる車台)を開発する能力が一時弱くなり、GM一家に入って、オペルからプラットホームを借りていたんです。当時、オペルにはしっかりしたプラットホームがあった。一方、フィアットは上物を作るのは得意です。かっこいい魅力的な外装や内装を作れる。これがうまくはまった。今、派生モデルを作らせたら、フィアットはなかなかすごい能力を持っています。
 
問題はもう1度プラットホームを基礎から作れる会社になろうと、能力構築の方向へ向かえばいいのに、またぞろ、「うちのプラットホームも古くなってきたから、またオペルさんに頼むか」という方向に向かっていること。それは長期的には問題でしょう。
 
竹森 フィアットがオペルに声をかけたのは、そういう技術上の絶対的必要性があったわけですね。
 
藤本 フィアットは、上物(アッパーボディー)を作るのはうまいんです。ブランド力やデザインもいい。だけど技術の底力という意味では、今はまだ、本当に「俺について来い」と言える底力を持った会社ではない。この3社で強いて言えばオペルが技術力でリードする会社でしょうが、ただ、単に3社がくっついただけでは、烏合の衆です。合併で大きくなればいいというものではありません。

クライスラーの車台にフィアットのボディを被せて、カッコイイ大型車を作ってほしいなと思います。 「角を矯めて牛を殺す」より、魅力を高めることしか復活の道はないですから。