「米での自立を目指す矢先だった」 トヨタ社長リコール会見(5)(産経新聞) - Yahoo!ニュース
--アクセルペダルでは、米政府のトヨタに対する怒りを感じる。なんでこんなに怒らせることになったのか。米当局が昨年12月に豊田市でエンジニアと会ったとき、不快感を示したと聞いている。訪米したらラフード米運輸長官と会いますか。
豊田社長「北米でどなたに会うかは決まっていない。トヨタに対する怒りという表現が適当か分からないが、販売は50年間、生産は25年間、(米国でも)長い歴史を繰り返して参りました。その間、アメリカの従業員を大切にし、お客さまに対しても真(しん)摯(し)な態度でやってきました。良き企業市民と評価されるように、今までもこれからもがんばりたい。昨今はアメリカでの自立化を目指そうという矢先だった。これだけ多くの保有台数持ち、開発もある。ただ、現地調達など、『バイアメリカ』といわれるまで、まだまだ。このような状態でも、アメリカのメーカーといっていただくように、方向性は変えないつもりだし、50年の活動を理解頂けば、応援支援頂く方が増えることを期待している。長くお付き合いになるお客さまからは励ましの言葉頂いています。そういう声が広がっていくよう、私自身、アメリカに出向いてやっていこうと思う」
佐々木副社長「(米当局は)国交省と意見交換されたり、日産やホンダにもいかれた。技術や品質保証担当者を集めて、NHTSAから安全確保のためにプレゼンしてもらった。議論の中で、われわれはフロアマットを、『正しく敷いてもらうことがいいですよね』と話した。そのときに、『そうはいかない』と議論した。ただ、その時点で対策を決めていたので、深い意味を持って議論したつもりはないが、『そんなことをまだ考えているのか』と指摘されたのは事実」
ダメじゃん。 それは怒るわ。 12月の時点でまだそんなこと考えていれば。
ところでプリウスのABSの問題ですが、
--なぜリコールになるようなABS制御にしたのか。海外の調達先の品質は低いのか
豊田社長「より快適なブレーキ制動の仕方を追求した結果かもしれない。(海外調達は)お客さまのおられるところで車を生産し、部品も調達するのが基本的な考え。アメリカも技術の優れた部品メーカーもいるし、一概にどこの国だから駄目というのはまったくない」
「より快適なブレーキ制動」というと、回生ブレーキの違和感を減らそうとしたということなのかな?
でも、こういう指摘もあります。
プリウスのブレーキはこうなっている,汎用部品の活用で回生協調機能を低コスト化 - クルマ - Tech-On!
プリウスはこれまで、回生協調ブレーキの機能を専用設計のシステムにより実現していた。これに対し新型プリウスでは、汎用的な横滑り防止装置(ESC)と部品の共通化を進めて、従来よりも29%軽量化し、低コスト化も進めた新型回生協調ブレーキを採用している。この新型ブレーキはその後、2009年7月に発売した「レクサスHS250h」や、同年12月に発売した「SAI」などの新型ハイブリッド専用車にも搭載されており、今後トヨタの前輪駆動系のハイブリッド車では標準的に採用される見込みだ。(中略)
新型ブレーキシステムは、従来よりもシステムを簡略化するとともに、通常のESCと共通部品を増やしている(図3)。(中略)
新型プリウスでも、こうした回生協調ブレーキの基本的な働きは同じ。ただし、小型・軽量化や低コスト化のために、大きく分けて二つの変更をしている。
一つは、各輪の制動力を制御するソレノイドバルブに、従来型プリウスでは、リニア・ソレノイド・バルブを使っていたのに対し、新型プリウスでは、通常のABSやESCで使っているのと共通のデューティ制御型ソレノイドバルブを使っていることだ。リニア・ソレノイド・バルブは、内部のスプールバルブを高い精度で位置決めすることで、精密に油圧を制御できるのが特徴。ただし高コストで寸法も大きい。
これに対しデューティ型ソレノイドは、基本的にはオン/オフ動作しかできないが、オン時間とオフ時間の比率を変えることで油圧を制御できる。ただし、その精度はリニアソレノイドほどではない。
リニアソレノイドは、高級車種の「レクサスLS」や「同GS」などに搭載している高性能なブレーキシステムにも採用されている。各輪にリニアソレノイドと圧力センサを備えることで、各輪のブレーキ油圧を独立して制御することができることから、ハイブリッドでない車種にも採用されている。
これに対し、新型プリウスのブレーキシステムでは、システム全体の油圧を決定する部分だけにリニアソレノイドを使い、この油圧を検知するホイールシリンダ油圧センサも1カ所だけ。その油圧をどの程度伝えるかを、各輪に装備したデューティ型ソレノイドで決定する方式を採用している。すでにESCなどで実績のある方式であり、性能的には十分だとトヨタは判断したのだろう。
本来、回生ブレーキとの協調制御を行うためには、通常の油圧ブレーキよりも高精度にABSでの液圧制御を行う必要があります。
そう考えると、2代目プリウスよりむしろ後退したシステムになっているような気がします。 そしてそれはお客様のために「より快適なブレーキ制動」を追求した訳ではなく、コストダウンが目的だったのではないでしょうか。
コストダウンが悪いとは言いません。 低価格化でより多くの人に手が届くようになった訳ですから。 でも命に関わる部分で、スペックダウンさせてまでコストダウンするのはどうかと思います。
プリウスのブレーキ、遅かった情報公開 - 日経Automotive Technology - Tech-On!
今回の会見ではこれまで「ブレーキペダルを踏みながら、路面状態が通常の状態から水たまりなど滑りやすい路面に移ると、ブレーキ制御の切り替えに伴い、油圧ブレーキの制動力が瞬間的に弱くなる」とされてきた問題が初めてより詳しく説明されました。
簡単に言うと、「快適性を重視してABS作動時に電動油圧ポンプを作動させず、運転者の踏むペダル踏力をブースタで増幅した圧力を利用するようにした結果、滑りやすい路面における制動力が不十分になり、制動に遅れが出て、停止距離が長くなる」ということでした。
プリウスに採用されている回生協調ブレーキは、モータによる制動力と油圧による制動力を併用しています。この状態で、車輪のスリップを検出して ABSの作動モードになると回生ブレーキを解除して、油圧ブレーキの圧力を高めます。その際に先代のプリウスは電動の油圧ポンプを作動させて強制的に油圧を高めて制動力を発生していたのに対し、新型では電動ポンプを作動させずに運転者がブレーキを踏んで発生させた油圧をブースタで増幅した油圧を使うのです。ただ、ブレーキを軽くしか踏んでいないと、発生する油圧が小さいため、ABS切り替え後の制動力が一瞬弱まるというのです。新型のメリットは、電動ポンプの作動音や振動などを低減して快適性を高められることですが、これを重視したことが今回の問題の原因となったのです。
対策は、ABSの制御プログラムを書き換えて、従来のプリウスのようにABS作動時に電動ポンプで油圧を高める方法に変えることです。これによって、通常のABSと同等の制動力を得られるといいます。
あー、なるほどね。 電動ポンプ回さないんじゃ、そりゃ油圧が立ち上がるのが遅くなって当然だわ。
でもなんでそんな制御したんだろう? テスト部隊が気づかないハズがないと思うんだけどなぁ?
対策はECUのリプロラミングで行うようですが、システム構成自体は変わりませんから、効果には限界があるのではないでしょうか? あるいは別の副作用が出る可能性も否定できません。 十分にテストができているのかどうか、心配ですね。