WSJ 「トヨタの危機の根源は、日本的体質にあり」

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【コラム】トヨタの危機はメイド・イン・ジャパン(ウォール・ストリート・ジャーナル) - Yahoo!ニュース

トヨタの反応が鈍く的はずれなのは意外ではない。日本では危機管理がひどく遅れているのだ。過去20年を振り返っても、日本企業が危機管理に成功した例は思い当たらない。どの問題でもパターンはお決まりで、当初の対応は通常遅く、問題を最小限に見せようとし、製品リコールを先延ばしにし、問題についての対外的なコミュニケーションが不足し、製品から悪影響を受けた消費者へのいたわりや配慮がなさすぎる。火を噴くテレビであれ、汚染粉乳あるいは産地偽装であれ、企業はどのケースでも証拠が積み重なり言い逃れができなくなってようやく公表に踏み切り責任を認めるという形で消費者をごまかしてきた。製造物責任法(PL法)に基づく訴訟の賠償額がほとんどの場合恐ろしく少ないか存在しない日本では、そうした怠慢によるコストは低い。
 
日本では生産側の利益が消費者の安全に勝るのが普通だ。
 
日本企業は、事実を隠したりごまかしたりすることがよくあり、広報担当が業務遂行に必要な情報を持っていないことも多い。経営トップに正確な情報を迅速に知らせる体制がないため、正確で十分な対応ができない。そのため、経営陣はメディアからの質問に対処する準備が整っておらず、「協力を渋っている」、「無関心である」という印象を与える。

そこまで言うのはどうかと思う(アメリカ企業だってそんなに誠実じゃない)けど、確かにトヨタの言い分は「製品に欠陥はない」、「法律上は問題ない」、「どう対応するかはまた改めて発表する」という内容でした。
これでは「自己正当化するばかりで、顧客の不安を理解できない企業」と受け取られても仕方ないかもしれません。

初代カローラ発売以後、なぜトヨタがトップ企業になったかというと、顧客の意見を愚直に汲み取って製品作りに活かしてきたからです。

効力よりも「鳴かない」ことを優先するブレーキも、顧客がそれを望んだからそうやって作ってきたわけです。
もちろん「みんなの意見を聞く」といっても、相反する場合もあります。 それを踏まえて最大公約数のクルマ作りをしてきたのが、「80点主義」といわれた頃のトヨタです。

そんなトヨタが変わってきたのが、奥田体制になってからですね。
若者がホンダに流れるということで、より尖ったクルマ作りをするようになりました。 ヴィッツやプリウスなど、優れたクルマも生まれました。

しかし同時に、「お客様の言う事は正しい」という姿勢が、いつしか「自分たちの考えが正しい」に変わってきてしまったんじゃないかと思います。

別にトヨタが悪いと言いたいのではなく、「あのトヨタですら」このような陥穽に陥ってしまうという意味で、肝に銘じないといけないなと思いますね。