一説によると、80年代、90年代以降に生まれた新世代の出稼ぎ労働者たちが台湾系企業の軍隊式の管理に我慢できないのが自殺の一因だと指摘されている。この可能性は否定できない。だが、問題の本質はそこにないのではないか。
これまでの出稼ぎ労働者と違って、都市部で3年働いたら田舎に帰る者がほとんどいなくなるのが新世代の出稼ぎ労働者の特徴である。しかし、都市部の戸籍をどうやって取得するのか、この収入ではどうやって住宅が買えるのかなど、自分の力ではどうしようもない壁に次々と突き当たる。これは、ほとんどの出稼ぎ労働者が共通して感じる不満と悩みだろう。
こうなると、企業、とりわけ外資系企業の力だけではどうにもならない。労働争議に見舞われた企業を見ていると、企業もこういった不満のはけ口となっているのではないかと思う。
出稼ぎが終わって物価の安い田舎に帰るのが前提なら、多少賃金が低くとも我慢できたのでしょうが、都市に定着したいのであれば、賃金水準の低さは大きな不満になるでしょうね。
上海とかでマンションを買おうとすると、日本より高いですからね。 でも、マンション買えないと結婚もできないらしいですから。
一方では、経済発展が内陸部にまで達し、沿海部にまで出稼ぎに行かなくてもいいと考える人も増えてきたようです。
中国の出稼ぎ市場、Uターン就職が急増(ウォール・ストリート・ジャーナル) - Yahoo!ニュース
ホンダの部品工場をはじめ中国南部のメーカー各社は最近、賃金引き上げに動いているが、その根本原因は当地のような農村部にある。中国農村部では最近、これまで出稼ぎ労働をしていた人たちが自宅近くで働き始める例が増えてきている。(中略)
Zhuさんのように、生計を立てるために故郷を遠く離れる必要がない、あるいは離れたくない人が増えていることは、中国経済における2つの大きな変化を反映している。1つは、建設やインフラ構築ブームによる内陸部の経済成長に伴って、中国全土で経済成長の均等化が進み、労働者にとって選択肢が増えていること。そしてもう一つは、労働者が年をとるにつれ、故郷や家族と遠く離れて長期間暮らすことをためらうようになっていることだ。
こうした事情によって、長い間労働コストの安い出稼ぎ労働者に依存してきた中国の一部地域では対応を余儀なくされている。中国政府の調査によると、中国南部・広東省の工場地帯、珠江デルタ地域の出稼ぎ労働者数は2009年に22.5%も減少した。(中略)
珠江デルタ西側にある江門市の王南健市長は「農村部からの出稼ぎ労働者の状況は、かつてと違ってきている」と話す。「今は選択の余地がある。故郷の経済状況は良好で、内陸部の雇用機会は増えている。そのため、沿海部まで出稼ぎに来る必要がなくなっている」
日本の高度経済成長も、東北地方からの出稼ぎ者の労働力で支えられていた面がありましたからね。
いつまでもそういう状況が続くわけではありませんから、進出メーカーは変化に適応する必要があります。