第10回 「ツメツメしちゃうぞ」が口癖の性悪上司 - ダメな“システム屋”で終わりますか?:ITpro
失敗をしてしまった部下や若手、後輩に対して、その原因を一緒に考える、あるいは、本人に確認させるためにしかることは大きな意義があります。この時、「なぜ、そういうことをしてしまったのか」という問いかけは重要です。ほかに選択肢がなかったのか、なぜその方法を最善と考えたのか、などを問い直すことで、しかられる当人がレベルアップできる可能性があります。
しかし、「なぜ、そうしなかったのか」という問いかけには注意が必要です。それをする時間的余裕がなかったのか、その方法を知らなかったのか、自信がなかったのか、それよりほかの方法が良いと思ったのか、色々な理由が考えられるからです。
このうち、「時間がなかった」のであれば、本人に原因を帰するべきかどうか一考を要します。「知らなかった」場合も同様で、知らなかったことを理由に強く叱責(しっせき)するのが意味があるとは思えません。
本人の失敗ならまだしも、仕事が遅いことを責め立てるのは要注意です。もちろん手を抜いている、勤務態度が悪い、などの理由で進行が遅れているのであれば、しかることも必要です。ただし、能力の問題、仕事量の問題、あるいは私生活などに起因する隠れた問題が潜んでいる可能性などを考慮する必要があります。
冷静に考えれば分かることですが、仕事が遅いことをしかっても、その人の仕事は速くなりません。しかることと、怒りをぶつけることは本質的に違います。怒りをぶつければ、ぶつける側は一時的なストレス発散になるかもしれませんが、ぶつけられた側のストレス蓄積はそれ以上になります。組織としては、マイナスの効果しかありません。
短期的なマイナスで済めばまだ良いほうです。多くの場合、怒りをぶつけられた側のストレスは中長期的に続き、組織の空気を悪くしてしまいます。回り回って、ストレス発散したつもりだった上司・先輩の周囲からの評価もじわじわと下がっていくことでしょう。
「時間がなかった」というのは、突発的な事象に対して対応マニュアルもない状態で、即断をしなければならなかったという状況を指しますが、実際にはそんなことはめったにありません。 そうなることが前もってわかっていたにも関わらず、放置していたとかそんなものです。
ただ、怒りにまかせて叱責したり、皮肉を言って相手をくさす上司を数多く見てきましたから、好悪の感情を持ち込まないように気をつけています。 というか、同僚に「嫌い」な人はいないです。 「苦手」な人はいますけどね。