「リベンジ就活者」10万人超 採用枠巡り現役と競り合う

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「リベンジ就活者」10万人超 採用枠巡り現役と競り合う:日経ビジネスオンライン

構造的な不運、つまりミスマッチの第1はそもそも新卒求人数に対し、大卒者の数が供給過多になっていることだ。教育機会の拡大と仕事の機会減少がもたらした齟齬である。
 
1990年に24.6%だった大学進学率は2010年に50.9%にまで上昇、多様な若者が大学で学ぶようになった。大卒者が1.5倍に増える一方、高卒・大卒の新規採用市場は逆に大きく縮減してきている。バブル崩壊以降、日本企業は人事管理の考え方を大きく転換、新卒採用を抑制し、契約社員や派遣、パートなど非正規雇用に置き換える複線化採用を進めてきたからである。

これだけ少子化が叫ばれているので、てっきり大学生も減ってるのだと思っていたんですが、こんなに多いんですね。 自分が就職した頃(87年)に比べて、100万人も多いではないですか。 そりゃ就職にあぶれる大学生いても当然です。
大学の数を減らした方がいいんじゃないのか?

そうなると、ただでさえ採用数を絞っている企業としても、厳選して上澄みを掬おうとするでしょう。 大学進学率が倍になったしても、優秀な学生の比率というのは変わらないものですからね。

構造的な不運の第2は技術革新やグローバル化など企業環境が大きく変化する中で、職業人として求められる知識や技能が高度化し、とりわけリーマンショック以降、大企業の間で、「厳選採用」の潮流が一気に強まったことだ。2009年あたりから大企業は数合わせではなく、優秀な人材しか採らない動きが目立っている。大学生のバブリーな増大は「学生の質の低下」をもたらしており、学力不足や就職準備が整わない学生がこの厳選採用の高いハードルを越えられず、大学を卒業しても就職できない学生が大量発生する現象が急速に表面化してきたのである。
 
2010年春の大卒者のうち、進学も就職もせず、「無業」のまま卒業したり、フリーターになったりすることを余儀なくされた若者は合計で10万6000人に上ったが、独立行政法人労働政策研究・研修機構が6月、500近い大学のキャリアセンターの協力を得て、この10万6000人の追跡調査を行ったところ、うち7万人弱が「リベンジ就活」にいそしんでいることが明らかになった。
 
このほか今春「就職留年」を含め7万2400人が新たに留年したが、この大半も「2年目の求職活動」に挑んでいると見られるから、10万人をはるかに超す既卒者と留年生が、41万人の現役4年生と2011年春の採用ワクをめぐり競い合っているわけだ。

なんだか芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を連想しますね。 大変だわ。

構造的な不運の3番目は、実は今の「就活の仕組み」に内蔵されている。就活構造を決定的に歪めた犯人とも言えるのが「インターネット就活」だ。
 
しかし、就職ナビに掲載されているのは大企業中心の採用情報で、せいぜい8000社分に過ぎない。その中で、実際に本格的に機能するのは、TVコマーシャルや新聞・雑誌の記事に載り、学生が知っている企業に限定されるから数百社レベルだろう。このため膨大の数の学生・若者が特定の大企業、有名企業にエントリーするようになっている。学生が大企業志向となり、中堅・中小企業に目を向けないミスマッチを引き起こす大きな要因だ。

これはよく指摘されるところで、大企業の有効求人倍率が0.5程度に対し、中小企業は4倍強という話です。 成長性なら、大企業より中小企業の方がありそうですけどね。

さらに厳然たる事実を言えば、大手企業と圧倒的多数の学生の間には実は「見えない壁」が存在している。大手企業には万の単位でエントリーが集中するから、当然、応募する学生の質も玉石混交になる。このため企業は採用活動を効率化するために、ポテンシャルが高いと見られる上位の特定大学に絞り込む「ターゲット採用」の傾向を強めているのだ。逆に言えば、ターゲットとされない大学に所属する大多数の学生にとって見れば、就職ナビなどで企業の採用情報を閲覧し、応募することが出来ても、最初から採用対象とはなりえていない。結果として、そうした学生は努力が無駄になるというハンデを負っているのである。
 
かつても指定校制度はあったが、1990年代初め頃までは大学の就職部の組織的指導や理系学生の場合、研究室推薦も活発で大学の就職斡旋・相談機能がそれなりに機能していた。学生は大学に届いている求人情報や先輩の就職先から自分なりの就職の相場観を作り、活動することも多かったが、今はネットで大企業中心の採用情報に接し、まさに海図なきままに就活の海に出て、立ちすくんでいる学生が多い。

自分が就職した頃はまだ学校ごとの人数枠がありましたね(理系なので)。 だから就職における競争とは、学校の中でいかにその枠をかち取るかという話でした。 それは通産成績で、自分自身がある程度コントロールできることですから、シンプルな話でした。

バブリーに増加した大学生の大半は、大企業からターゲットにされていない大学でしょう。 大学としても、大企業への採用実績を作りたいのでしょうが、「就職率 No.1」を目指したほうが学生が集まると思いますよ。