「お金のために会社にしがみつく」自分に嫌気が差す瞬間:日経ビジネスオンライン
私がまだ学生のころ、知人である年配の男性にこう言われたことがあった。
「最初はね、お金のためにみんな働く。でもね、働いているとお金よりももっと大切で価値のあるものに気づくよ」
当時、私は彼の言っている意味が分からなかった。誤解を恐れずに言うならば、「お金のために働く」ということもよく分からなかった。
自分もやっぱりお金に執着するのがイヤでね。
改善提案を書くと1件いくらかもらえるという制度があり、若い頃に上司からも書くように言われるのですが、お金のために大したことでもないのを針小棒大に書くのがイヤで。 いま考えると、単なるカッコ付け(人には言わないので、自己満足というべきか)だと思います。
給料に無頓着なのは今も大して変わってなくて、勤務評定をするようになってようやく給与体系や評価システムを把握できました。 入社5年目くらいまでは自分の号数を覚えていたのですが、その後給与体系が変更になってからはさっぱりでしたから。
そんなだから、辞令を受け取るときもそれが良い評価なのかもわかってなくて、ただ「ありがとうございます」とよく見もしないで受け取り、そのまま引き出しにしまうだけでした。 いま考えると、よい評価をつける甲斐のない部下だったなぁと反省しています。
でも、自分にとっては「その仕事が学ぶことが多くて面白いか」しか興味なかったんですよね。
働きがいさえあれば、お金はすべて、ではなくなるのだ。
冒頭で新成人の9割近くが「仕事=お金を得るため」と答えたと記したが、実はこれは若い世代に限ったことではない。
昨年、一般の労働者を対象に行われたあるアンケート調査でも、「仕事はお金を稼ぐ手段に過ぎない」と答える割合は、一般社員では44.5%、課長職 38.5%、部長職33.9%と、役職が上がるにつれて減少してはいるが、3割以上もの部長職が肯定的に答えているのだ。また、仕事に対するモチベーションについて聞くと、一般社員から部長職までは「給料」が最も多く、全体の半数前後を占めた。
つまり、今、ほとんどの労働者が「働きがい」を感じられない状況にあり、「お金のためだけに働いている」意識が高まっていると見ることができる。
「健全な出世欲」を持っている友人(実際に非組になったのもいます)と話していると、収入もモチベーションになっているようです。
でも有休も取れなくなるんじゃ、3割くらい年収がアップしても嫌だなぁ。
最適の場に企業がなり得ない以上、お金のためだけに働き、それまで会社にあると信じていた「生きがい」を、仕事以外に求めた方がいい。いや、職場には必ずや「働きがい」があるという思い込みを捨てた方がいいのだ。
その代わりにボランティアに参加したり、生活はできないけれどやりがいのある第2の仕事を見つけたり、あるいは家族のためだけに生きることに光を見いだし、仕事をそれらのライフを充実させるための手段と割り切ればいい。
お金が人生のすべてになってしまっては、人生の真理も、自分の存在価値の真理も、見失うことになりかねない。だが、仕事は人生の大切な一部ではあるけれど、すべてではないと考え、仕事以外の部分に光を見いだすことさえできればいいのではないか。
給料分の仕事をしてくれればまだいいんだけど、「仕事は生活のため」と割り切った人に多くは期待できないよね。 そういう人ばかりだから停滞した会社になるのか、停滞した会社だからそういう人ばかkりになるのかはわからないけど。