新型iPod nanoは、進化の袋小路?

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ウォークマンとiPodのシェア逆転、要因は「新型iPod nano」 - ITmedia News

10年の年間販売動向を月次で見ると、ウォークマンは販売台数・金額とも前年同月比でプラスを維持。台数では10月には43.1%増、12月には42.7%増と大幅に増加している。
 
一方、iPodは9月以降、台数・金額とも大幅な前年割れが続いており、商戦期の12月に台数で15.3%減という異例の事態になっている。iPod販売は9月の新製品投入で回復するのが例年の動きだったが、昨年はむしろ落ち込む結果に。BCNの道越一郎アナリストは「10年の新製品は失敗だったのかもしれない」とみる。
 
道越アナリストは「iPod nanoは新製品発売からガクンと落ちている。今回のシェア逆転劇の一番大きな原因」と指摘。タッチディスプレイを採用して大幅にデザインやユーザーインタフェースを変更した新型nanoが、ユーザーにはいまひとつ受けなかったのではないかとみている。
 
「iPodの機能はiPhoneに含まれており、市場シェアの分析はiPhoneも加味すべきだ」──という批判がある。これに対して道越アナリストは「iPodは携帯音楽プレーヤー、iPhoneはスマートフォンだとアップル自身が明確に区別している。製品ジャンルが解け合っている状況があり、一概には言えないが、中心的な機能によって分けて考えるべきだろうということで、それぞれ別にカウントしている」と説明する。

ちょっと前の記事で、スルーしていたんですが、これを予言していた(?)記事を見つけたので取り上げます。

【元麻布春男の週刊PCホットライン】 小型iPodの紆余曲折

というわけで、事前の予想から大きく外れない、正常進化形であったiPod touchに対して、iPod nanoは若干議論を呼びそうだ。新しいnanoは、前世代(第5世代)のnanoにあった、ビデオの再生機能と録画機能(カメラ)がなくなり、その分小さく軽くなったものの、価格は据え置きである。国内価格は円高メリットで、8GBモデル、16GBモデルとも前世代より1,000円安くなった(円ドル換算はやはり84円~85円前後)ものの、イマイチお得感に欠ける。
 
ディスプレイも2.2型から1.54型に小型化している。第6世代iPod nanoの目玉は、この小さなスクリーン上のマルチタッチによる操作だが、あまりピンとこない。キーノートスピーチでスティーブ・ジョブスCEOは、iPod nanoのマルチタッチスクリーンを操作して見せたが、正直に言って「やりにくそう」という印象だった。会場の反応も微妙で、ジョブスCEOが拍手を催促するような「タメ」を作る様子が窺えた。
 
そもそも米国人は必ずしも小さいものを好まない。基本的な考え方は、「強くて大きいものイコール善」であり、「小さいものは安いもの」、である。iPadの大ヒットにしても、平均的な米国人にiPhoneやiPod touchは小さすぎたのが理由の1つだと筆者は考えているほどだ。あの指の太い米国人が、新しいnanoの1.54型のマルチタッチディスプレイをチマチマと操作する様を想像すると滑稽ですらある。
 
結局、多機能化を図ると上位にiPod touchがあり、iPod touchでも操作性に難を感じるユーザーはiPadへいく。1.8インチHDD(iPod mini)を捨て、フラッシュメモリを採用することで、小型化と軽量化を実現したiPod nanoだが、ここにきて進化の方向性を見つけるのが難しくなっているようだ。(中略)
 
こうして見てみると、iPhoneあるいはiOSの進化に同期して、機能や性能を向上させていけば良いiPod touchに対して、iPod nanoやiPod shuffleは進化の袋小路的な場所に入り込んでいるように思われる。その理由の1つは、多くのユーザーがAppleに単純なプレイヤーではない「何か」を求めるから、ということがあるのだろうが、iPod touchと重複しない、また別の進化の方向を提示することがかなり難しくなっているようだ。一番安価なiPod touchより安価な価格帯にどんな機能を備えた製品を展開するべきなのか、しばらく模索が続きそうだ。

デバイスとしての差別化は、今ではソニーの方が一歩進んでいる(高音質化、ノイズキャンセリング機能、歌詞表示など)というべきかもしれません。 それも、Appleが差別化に苦しむ低価格帯でシェアを取り返しているようです。

でも、もともと iPodはデバイスとしてみたら、取り立てて突出したものではなかったハズです。 その強さの源泉は、iTunes + iTunes Store にあったのでは?
ソニーが苦戦していたのもまさにそこで、SonicStage は酷評されてましたし、Mora もダウンロード数で iTunes Store に水を開けられていました。

今はSonicStageじゃなくて「x-アプリ」というのを使うようですが、評判は悪くなさそうです。 海外モデルで先行していたドラッグ&ドロップでも転送できます。 さらに家電メーカーらしく、PCレスでCDから取り込みも可能です。

音楽配信については、古い記事ですがこんなのを見つけました。

国内音楽配信市場にアップル包囲網 シード・プランニング調査 | WIRED VISION

2008年の国内携帯プレーヤー市場は、アップルが半分以上の57%程度のシェアを押さえ、2位のソニーが30%程度。両社でほぼ9割を占める2強体制が確立されており、残りの10%強を東芝やパナソニック、アイリバーなど10社程度で分け合っている。さらに東芝とパナソニックは2008年春以降新製品を投入しておらず、事実上の撤退状態となっているという。
 
しかし、音楽配信市場をみると、『iTunes Store』を展開するアップルの国内シェアは10%程度にとどまり、世界市場での61%には遠く及ばない。代わりに携帯電話向け音楽配信が約80%を占めている。さらに、各キャリアが携帯端末を利用した音楽配信サービスを積極的に展開しようとしており、そのほとんどがソニー系のレーベルゲートと提携。対アップルの包囲網が構築されつつあるという。

どうやら黒船に対する攘夷は成功したようです。 あれほどPRが好きなAppleが、日本のiTunes Storeに関しては立ち上げを過ぎてからはほとんど何も言わないですからね。

ところで、昨年秋に発売された新型Walkmanのレビューを探したんですが、見つけることが出来ませんでした。 iPod touchの記事はあるのに。 マスコミには無視されても店頭では売れているのであれば、商品力で勝負ができているということなんでしょう。

それはさておき、最初の元麻布氏の記事に戻ると、

本稿執筆時点において、今回発表されたもう1つの新製品、iTunes 10はダウンロードできていない。相変わらず「iTunes 10。まもなく登場。」の表示のままである。が、正直言うと、筆者にとって新機能の目玉である「Ping」はどうでもいい。どこの誰が何を聞いているかに興味はないし、自分が何を聞いているかを人に教えたいとも思わない。何が売れているかで、聞く音楽を選ぶことはしないし、iTunes 9のGENIUSもほとんど利用しない。正直に言うと、筆者はSNSのたぐいがうっとうしいと感じるタイプの人間である。
 
筆者がiTunesに望むことは、全登録楽曲やアルバムをアーティストのアルファベット順に、カバーフローで閲覧できるようにして欲しい、ということだ。最近半年に限ってでも構わないから、発売日(リリース日)順でもみたい。要するに、リアルのCDショップでやっていることを、オンラインでもやらせて欲しいのである。そこで何を選ぶかは自分で決める。お店のリコメンドもあって良いが、あくまで参考であり、押しつけがましいのは勘弁だ。その点では、iTunesのアーティスト・アラートは許せる。
 
実際には、全登録楽曲のカバーフローなどというのは、システム負荷的にサポートするのが難しいのだろうと思う。ならばせめて過去3カ月の新規登録アルバム限定でもいいから、カバーフローさせて欲しい。サーチでもなく、おすすめでもなく、すべての楽曲をフラットに、余計な情報抜きで、単純に大きなジャケット写真で眺め、そこからジャケ買いさせて欲しい。
 
実際には、リアルのCDショップでも、こうした行為はどんどん難しくなっている。最近、渋谷のHMV閉店が大きなニュースになったが、都内でも十分な在庫を持ち、CDのジャケ買いができる規模のお店は数店というレベルになりつつある。だからこそ、リアルのCDショップを駆逐しつつあるオンラインショップに、その代わりを期待したいのだ。それさえできないというのでは、オンラインショップもしょぼいものだなぁと思う。

自分はカバーフローは使いませんが、ジャケ買いもまた楽しいものなので、気持ちはわかります。
最近はCDを借りに行くのも面倒なので、TSUTAYAの通販レンタルでこんな選び方ができるようになったら嬉しいな。