一方、次のような懸念も浮上している。6万台か場合によってはそれ以上の軽をダイハツがトヨタに供給することで、ダイハツは07年から続けている「軽自動車販売ナンバーワン」の座を、スズキに明け渡す結果になるかもしれない、というもの。そうなれば、スズキが頑張って逆転するのではなく、トヨタグループの内部事情によっての首位交代である。
この点を後藤は、「その事態は避けなければなりません。日本で1番高い山は、富士山と誰でもが知っている。では、日本で2番目に高い山をご存じですか。ダイハツは2番ではダメなんですよ。説得力が違うから」と危惧している。
レンホーさんに聞かせてやりたいですね。
それに対して、数年前までCMで「軽 No.1」を連呼していたスズキはどう考えているのでしょうか?
トヨタによる軽参入に対しても、「(自社登録などで)無理をして販売数量を伸ばすことは、絶対にやらない。今回のような震災が起きても、財務体質が強化されてきているので狼狽(うろた)えないのです。負の財産につながる行為を重ねていたなら、いま頃はどうなっていたか」と田村。
また、ダイハツが6万台をトヨタに供給することで、スズキが軽自動車トップに返り咲く可能性もある。この点については、「2番でもスズキは自信をもっています。1番には、もうこだわらない。お行儀の悪い富士山よりも、誰も知らないけれど、頑張った北岳(日本で2番目に高い山)のほうが私は美しいと思う」。
一度手放すと取り戻すのが大変なのが「No.1の座」なんですよね。