エンジニアが自由な発想を活かせる場を失ったソニー

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【本田雅一のAVTrends】ユニークで、好奇心を刺激するソニーへ -AV Watch

もう5年も前の話になる、オーディオ機器のエンジニアが「このLSIとソフトウェアを使いこなし、自分のノウハウを埋め込むことができれば、世界最高の製品を作れる自信がある。他社は絶対にまねできない。やらせて欲しい」と訴える場面に出くわしたことがあるが、答えは決まっていた。
 
「”SONY”の冠を付け、高品質な製品を出せば、それが正しく評価される時代は終わった。その製品の質がどれほど高いかで経営判断をする会社ではなくなってる。これは私だけの判断でどうにかなる話ではない」
 
10年前のソニーは自信に満ちあふれていた。安藤国威社長に話を聞いた時、同氏は「我々はエレクトロニクス製品を提供しているだけで、十分に利益を出していける。それはブランド力であり、製品を生み出すノウハウと技術力だ」と話した。
 
安藤氏の言う通り、ソニーは優れた企業であった。今でもブランド力は決して弱くはない。しかしこの10年、自社が抱えるエンジニアが、自由に、自分が欲しくなる製品を作れてきたかと言えば、流れは逆だ。合理化の元に行なわれた“選択と集中”の“選択”を誤り、エンジニアたちは自由な発想を活かせる場を失い、一歩間違えれば変人と思えるほどの新しい発想をする人たちとは出会わなくなっている。
 
ユニークな製品を生み出す環境を、自ら少しずつ捨ててきたことが、ソニーがソニーでなくなってきた理由ではないだろうか。

「天才は、天才を知る」のだと思います。
ソニーは創業から大賀さんまで、天才が率いてきました。 だからこそ尖った人材を生かすことができたのでしょう。

「凡人」のトップでも、いかに天才たちに成果を出させられるか。 ソニーがまだ答えを出せていない、そしてこれからアップルが挑む難問なのかもしれません。