シリコン至上主義の開発者がCIS系太陽電池に宗旨変えした理由とは?

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“発電する力”で注目のCIS系太陽電池とは? - トレンド - 日経トレンディネット

「当初、私は“シリコン至上主義”でした」。 昭和シェル石油に入社した1986年当時を振り返って栗谷川本部長は笑う。「地球上の元素の分布を考えると、大量に存在する“シリコン”に勝る材料はなかった。『太陽電池はシリコンでつくるべきだ』と言い続けていました」。(中略)
 
1991年、「CISの研究チームに入って、いかにCISがダメか指摘する材料集めくらいの気持ち」で渡米。そして、「CISの研究の一番の心臓部に触れて、1カ月後には、シリコンにこだわるのをやめた」と言う。
 
なぜ、そこまで急に意見を変えたのかと問うと、「理由ははっきりしています。CISは、ものすごくよくできた素材だからです」。栗谷川本部長は即答した。
 
どのようなところが、よくできていたのだろうか。「安定しない化合物は、作るとき、かなり厳密に条件を整えてやらないと1つの状態にとどまってくれない。つまり、作りにくいし、一度とどまっても、不安定で崩れやすく、すぐダメになります」。
 
ところが、CISは「どう作っても同じところにいく」ということがわかったという。「CISは、ある活性化エネルギーを与えてやれば、ほぼ自動的に、良い状態に行きがたり、こちらが望む状態で固まって、自然にバランスしてくれる素材でした」。その結果、半導体製造用装置のコンディションを同じ条件にしてやりさえすれば、あとはスイッチを押してスタートするだけで、ほぼ同じ状態のCISの半導体が安定的に作れた。
 
「『いや、これは筋がいいな』と思って、すぐにシリコンから宗旨替えしました(笑)」

へー。 でも低位安定じゃ意味が無い訳で、変換効率の理論限界とかはどうなんでしょうね?

例のソフトバンクの実証実験でも、ソーラーフロンティアのパネルは好成績を残しています。 実際の発電能力では、結晶シリコンに負けないというのは強がりではないみたいです。

影に強く、光が当たると成長し、温度上昇にも強い。
 
この3つの条件から、CIS太陽電池は優れた実発電能力を発揮するわけだ。
 
しかし、そこまで優れているのなら、なぜ、ソーラーフロンティアだけしかCIS太陽電池の製造・販売に乗り出していないのか。
 
「その答えは、20年前から研究してきたにもかかわらず、なぜ我々がCIS太陽電池の商品化に踏み出したのが数年前だったのか、その理由と同じです」。
 
「大面積のCIS太陽電池を安定的に大量につくるのは、技術的に、非常に困難でした。いかにして安定的に量産するか、その部分について、我々は20年間、ひたすら研究・開発し、技術を磨いてきました。我々の強みは、プロセス開発と装置開発を同時にやってきたこと。その点が大きいと思います」。栗谷川本部長は、自信に目を輝かせながら言った。

バラつきが少なくて安定的に作れたとしても、実用レベルの発電能力を持つCISを作るには、その条件を探り当てるのに時間が掛かったということなんでしょうかね?