消費者に意識調査をして「人気ラーメン店ランキング」ができたとする。ただし、このランキングはちょっと変わっている。調査対象となった消費者は誰も実際にラーメンを食べたことがないというのだ。わりと不思議な話である。このランキングの意味はどこにあるのだろう。おいしいラーメンを食べたいと思っている人にはあまり役に立たないはずだ。(中略)
これから就職しようという人々にとっては、「大学生が選んだ就職人気企業ランキング」に情報的価値はほとんどないといってよい。ここに出てくるような企業は、ランキングを見るまでもなく、ほとんど全員が知っている。まだリアルな仕事の経験がないフツーの大学生であれば、ほっておいても自然と「そそられる」会社ばかりだ。
ランキングそれ自体には罪はない。しかし、この種のランキングにはむしろミスリーディングな面がある。いつの時代もこれから社会に出ようという若者はナイーブなものだ。就職人気ランキングの上位にある企業ほど「よい就職先」だ、上位の企業に就職することが成功だ、と短絡的に考えがちだ。
若者たちの浅はかさを嗤うより、大人の狡さを責めるべきですね。
自分が就活していた頃もやっぱりこういうのはありましたが、気にしたことはなかったですね。 たぶん今の就活者も気にしていないと思います。 新卒採用担当者くらいじゃないの?
話をランキングに戻す。それにしても、この「いつもの顔ぶれ」はある意味凄い安定感だ。JTBも太古の昔から上位にいるような気がする(そんなに大学生は旅行好きなのか?)。僕が大学生だった30年近く前と比べても、三菱東京UFJ銀行が三菱と東京とかにバラけていた程度で、ほとんど変わっていないのでは。(中略)
冗談はさておき、考えてみれば、これほど長期にわたって「有名な会社」が変わらないということのほうが、「ラーメンを食べたことがない人によるラーメン店ランキング」の存在よりも不思議である。就職人気企業ランキングが2012年の今になっても相も変らぬ顔ぶれで占められているということは、若者の労働市場において需要と供給のミスマッチがあるということを示唆している。ここに問題の本質がある。
昔はJTBに入って添乗員になって世界中を飛び回って...というのに憧れる学生がいたんだと思います。 今はどうなんですかね?