過剰投資の問題を、追加投資で解決することはできない

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とうとう、中国バブル崩壊か!関連株への投資は避けるべし!|世界投資へのパスポート|ザイ・オンライン

現在の中国経済の状況でとくに心配されていることのひとつに、完成品の在庫がどんどん積み上がってしまっていることがあります。
 
中国のメーカーの多くは、その成長の過程で生産能力をより拡大し、高度な工作機械を導入するなどの方法により品質の向上や納期の短縮化を図ってきました。それは裏返して言えば、それらの先行投資を回収し、利益を得るためには“工場を止めるわけにはいかない”ということです。(中略)
 
中国経済の発展は2つの大きな特徴を持ってきました。1つは皆さんもご存知のように「輸出主導型の成長モデル」を標榜してきたということです。もう1つは、高水準の「先行投資」で常に生産力を増強してきたという点です。
 
しかし上でも見たように、現時点では輸出先である海外市場が飽和状態になっているので、中国は成長モデルの再考を迫られています。
 
これまでの中国であれば、不景気になる兆候が出れば投資を加速することで深刻な景気後退を回避することができました。
 
しかし、長年続けられてきた過大な投資の影響で、投資成果はだんだん小さくなっており、むしろ事業主の懸念は「どうやって資金をやりくりするか」という点に移っています。
 
それは言い換えれば、過剰投資の問題を、さらに追加投資することで解決することはもはやできないということです。

あれだけの人口があるのですから、内需も大きいのでしょうが、「世界の工場」たる過剰な生産能力を吸収することは、中間層が育ってきているとはいえ難しいことでしょう。

中国は「中所得国の罠」に陥らず 一人当たりGDP=1万ドルを実現できるか|伊藤元重の日本経済「創造的破壊」論|ダイヤモンド・オンライン

中国経済がいま大きな転換期にあることは、誰の目にも明らかだ。(中略)
 
中国の一人当たりGDPはすでに5000ドルを超えるような水準になっている。低廉な労働コストを利用して輸出競争力を確保するというには、もはや中国の賃金は高すぎる。すでにタイなどと比べても賃金コストは高くなってしまった。日本企業のなかにも、中国での人件費の高騰を懸念しているところが多い。中国経済が輸出だけで伸びていく時代は終わったのだ。(中略)
 
中国経済の成長のパターンはたしかに特殊である。あれだけ高い成長を続けているのに、貿易収支が黒字を続けてきた。これは特異なことだ。(中略)
 
輸出に依存しすぎていることと関連するが、中国経済の特異性は、これだけ高い成長を続けているにもかかわらず、失業率が非常に高いという点にもある。かつての高度経済成長期の日本のような、高成長で労働力不足に陥った経済とは根本的に異なる。
 
中国経済では、社会全体に占める輸出型製造業のシェアが大きい。よく中国人の経済学者が言うが、中国は8%以上の成長を続けない限り、新たに出てくる雇用を吸収することができない。仕事のない人が増えれば、大きな社会問題になる。だから、社会の安定のために高い成長を維持する必要がある、というのだ。
 
中国にとっての中所得国の罠とは、このような輸出偏重型の産業構造を続けていく限り、中所得国のステータスから抜け出すことが難しいことを意味する。中所得国から抜け出すためには、一人当たりGDPが上昇していかなくてはならない。しかし、一人当たりGDPが上がるということは人件費も高くなるということである。それでは輸出競争力が落ちてしまう。

ずっとエンジンの回転数を上げ続けていくことはできないので、どこかでギアチェンジしないといけないのですが、外部環境的にも内政的にも非常に難しい時期にぶつかってしまいましたね。