危険な衝突事故 「スモール・オーバーラップ」とは?

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米で高級車対象に新タイプの衝突テスト、合格はホンダとボルボだけ (ウォール・ストリート・ジャーナル) - Yahoo!ニュース

ほとんどの自動車が衝突テストでは良い成績を上げるのに、米国の幹線道路では年間約1万人が自動車の前面が衝突したことによる事故で亡くなっている。なかでも最も対処法確立の優先順位が高いのがフロントがかすり合う「スモール・オーバーラップ」の事故だ。このタイプの事故では、衝突の力は堅牢な骨組みをすり抜け、エアバッグも作動させない。
 
インシュアランス・インスティテュートは時速40マイル(約64キロ)で走る自動車の「スモール・オーバーラップ」の衝突事故のシミュレーションを行った。最初のテストでは高級車と準高級車の11種を対象に行われ、メルセデスベンツやフォルクスワーゲン、アウディー、レクサスといった自動車がすべて芳しくない結果を出した。フォルクスワーゲン「CC」は衝突後、運転席のドアが落下した。インスティテュートによると、衝突テストでドアが落下したのは初めてだという。

通常のオフセット衝突試験は40%とか50%ですが、「かすり合う」というと20%以下なんですかね?

この試験結果は自動車メーカーにショックを与えたようです。

インシュアランス・インスティテュートのスモール・オーバーラップ衝突テストの結果は、自動車メーカーに注意を喚起することになった。フォルクスワーゲン米国部門で安全性や車両テストの責任者を務めるトーマス・ツォルン氏は、テストはエンジニアや幹部に不意打ちをくらわせた、と話す。ツォルン氏によると、米国ではスモール・オーバーラップの衝突は以前は注目されなかったし、ドイツの衝突データでも大きな問題にはなっていない。
 
ツォルン氏は「だが今は(危険性が)わかる」とし、「われわれは確実に対策を講じる」と述べた。
 
その対策とは、ほとんどの場合「Aピラー」(運転席と助手席の斜め前にある柱)周辺と、フロント部分の骨組みの強化になるという。ツォルン氏は「CCの次世代車両はずっと良くなる」と語った。
 
ただ、既存のデザインをさらに多くの鋼材で補強することは「高くつくうえ、かなり重くなる」ため、燃費も悪化する、とツォルン氏は指摘する。

今までもロールオーバーなど指摘された危険性については、自動車業界は必ず対策を行なってきました。 この衝突モードも、遠からず克服されることでしょう。

従来の正面衝突や側面衝突テストではトップクラスのランクとなったメルセデス・ベンツの2012年型Cクラスも新しいスモール・オーバーラップのテストでは「不可」となった。
 
メルセデスは、新しいテストは「異常なほど深刻で、尋常ではない事故のシナリオを想定」して行われ、Cクラスを「不当に不利にした」と反論している。
 
ただすべての自動車の成績が悪かったわけではない。2車種は「良好」との評価を得た。ボルボS60と、ホンダの高級車アキュラTLだ。
 
ボルボの米国部門で安全とコンプライアンスの責任者を務めるアダム・コプステイン氏によると、同社はスウェーデンや他の国で起きた事故のデータを収集・分析し、1980年代からスモール・オーバーラップの事故をシミュレートしたテストを行ってきたという。
 
また、ホンダの米オハイオ州にある研究・開発センターでチーフ・エンジニアを務めるチャック・トーマス氏によると、同社はすべての新型モデルのフロントを追加補強しているという。トーマス氏は耐衝突性の分野では「まだやるべきことが、たくさんある」と述べた。

早くからコンパチビリティーへの対策をとってきた、ボルボとホンダの成績が良かったというのは、ある意味当然かもしれません。

ホンダの場合、2003年にFMCした「ライフ」以降のモデルは、フロントタイヤの前方をガードするようにメンバーが伸びていて、フロントサイドフレームやアッパーメンバーへ衝突時の力を伝えるようになっています。