自動車輸出台数は世界第4位 メキシコの「強み」とは

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表舞台に立つメキシコー世界の自動車生産 (ウォール・ストリート・ジャーナル) - Yahoo!ニュース

日産のゴーン最高経営責任者(CEO)はインタビューで「メキシコは非常に競争力がある」と指摘。メキシコ工場の年間稼働時間は世界中の他の日産生産拠点よりも長いという。「実質的に好きだけ無制限に稼働させることができる」とゴーン氏。
 
さらに、メキシコの魅力は為替面の利点のほか、同国従業員の生産性の高さだという。

メキシコはUAWのような組合はないのかな?

賃金水準が安ければいいという訳ではなくて、やはり質も重要です。

専門家によると、メキシコの自動車生産ラインの日給は40ドルからスタート。この賃金は欧米の最低賃金水準をかなり下回り、製造業の平均賃金が時給3ドルの中国に近い。
 
ホンダのメキシコ法人責任者であるヘスス・バエス氏によると、コスト面での優位性が同社にメキシコで新工場を開設することを後押し。そこで3200人を新規雇用し、主力小型車「フィット」を生産する。稼動開始は2014年の予定だ。メキシコには自動車産業向けの政府支援プログラムで研修を受けたエンジニアら優秀な人材が多くいるという。

タイが東南アジアの自動車生産の中心になっているのも、やはり労働力の質が高いからだと思います。 今後はインドネシアも台頭すると思いますが。

日産は1966年、日本国外としては初めてとなる工場をクエルナバカで稼働させ、まずはメキシコ市場に的を絞った。その後、米国やその他の国への輸出を伸ばした。メキシコ中部アグアスカリエンテスの工場は1982年に操業開始した。
 
同社は輸出戦略の多様化を2009年から始めた。世界金融危機を経て、メキシコ経済が6%マイナス成長した年だ。米国とメキシコでの新車販売台数は激減した。日産のメキシコ部門は従業員を解雇し、給料を減らし、残った従業員の労働時間もカットした。
 
当時メキシコ部門の責任者だったホゼ・ムーニョス氏は日産の上司に工場の操業を続けるよう訴えた。ムーニョス氏は「日本で製造される予定の自動車をメキシコで製造しよう」と話したことを覚えている。幹部らはまた、成長中のラテンアメリカ市場にメキシコが近接していることも訴えた。
 
日産はこれに同意した。メキシコ製の自動車は日本製と比較してもそん色がなかったうえ、コストは安かった。それ以来、日産のメキシコ製自動車の輸出先は3倍の約100カ国へ増えた。日産のメキシコ部門は年60万台を上回る自動車を製造し、従業員は1万5000人を抱えている。
 
同国の生産性は産業の基準を塗り替えることとなった。例えば日産のアグアスカリエンテスの工場では、新しい生産の仕組みが1日23時間、週6日の稼働を実現させた。日産による調査によると、メキシコ製のコンパクトカー「ベルサ」は日本の追浜工場で製造された自動車と同じレベルの品質を示した。
 
メキシコ日産は、外貨と専門技術の投資から始まった。メキシコで製造を指揮するアルマンド・アビラ氏によると、ブラジルには現在、かつてのメキシコ工場エンジニアが率いている工場があるという。
 
日産のメキシコ工場は、米工場の補佐的存在に甘んじていた。あるモデルの生産を増やすのは、米工場が能力の限界に達した後だった。
 
だが、1万6000ドルのコンパクトカー、新型セントラの場合、メキシコ・アグアスカリエンテスで最初に生産を始め、米国の施設が不足分を補う。北米製造部門を率いるビル・クルーガー氏は「生産はメキシコで第2の命を与えられていた」と説明した上で、「今回は、米国が追随する側だ」と述べた。

とまあ伸びゆくメキシコの自動車産業ですが、進出する側の最大の心配は治安ですよね。

自動車業界の台頭は、違法な麻薬取引で知られるメキシコの明るい材料だ。対立する麻薬組織の抗争で過去6年に少なくとも6万人が死亡している同国への投資には、二の足を踏む企業が多い。
 
フェラーリ経済相は、心配する企業幹部が電話をかけてくると述べた。ホンダのメキシコ拠点は暴力事件が多いグアダラハラに近い。同社のメキシコ事業を率いるバエス氏は、工場も労働者も、麻薬取引を行うギャングに悩まされたことはないと語った。
 
だが、バエス氏によるとホンダはメキシコ中部セラヤに次の工場を建設しており、同都市の犯罪発生率は国内有数の低さだという。大半の自動車メーカーは米国とメキシコの国境を避ける。国境に近いレイノサ、シウダーフアレスなどの工業都市は、麻薬戦争に巻き込まれるケースが不釣り合いに多い。
 
メキシコは新たな鉄道路線に投資してきた。貴重な貨物をハイウエーに入れず、強盗を寄せ付けない目的もある。同国北部では、麻薬カルテルが勝手に道路を封鎖し、都市によっては政府を愚弄(ぐろう)するためにハイウエーを封鎖している。自動車メーカーからは、車を犯罪者に奪われたとの報告はまだない。

もう合衆国に新しい工場を建てようという日本メーカーはいないでしょうね。