【池原照雄の単眼複眼】3年間工場新設を凍結するトヨタの狙い | レスポンス
工場新設の凍結方針は一部メディアで報じられていたが、2月5日の決算発表の際に、伊地知隆彦取締役専務役員が「トップのメッセージ」だとして、コンファームした。今年半ばに稼働予定のタイのゲートウェイ第2工場(年産能力7万台)など、すでに新設計画が進んでいるもの以外は新規投資せず「既存設備の最大限の活用や稼働面の工夫」(伊地知専務)で、販売増に対処する。
リーマン・ショックまでの急成長期の反省を生かし、能力増には「ケチケチ作戦」で臨む。トヨタは02年から07年まで毎年50万~60万台のペースで世界販売を拡大させてきた。グループの生産実績は01年の585万台が6年後の07年には950万台に急増した。その翌年に金融危機に見舞われたのだった。
トヨタはこの急成長期にも年3000億円規模の原価低減を行ってきたが、投資増に伴って固定費も急拡大、「結局、(増益要因として)残ったのは円安メリットのみ」(伊地知専務)という収益体質になっていた。そこから、「固定費をコントロール」(同)しながら損益分岐点を下げる改善策を進め、足元では1ドル79円レベルでもトヨタ単体も黒字を確保できるようになった。
新興国も含めて、マーケットが急拡大しそうな国は少ないですからね。 インドネシアくらい?
興味深いのはこのくだり。
その頃のちょっと贅沢な工場投資としては、「革新ライン」の名のもとに07年夏に刷新・稼働した高岡工場(豊田市)第1ラインがある。高精度な計測装置によるライン内検査や、組み付け部品をあらかじめセットしてラインサイドに供給する方式などにより、高品質確保とトヨタでは最速のラインスピードを実現した。ただし、投資負担の大きいラインになったとの反省を残し、国内外への横展開も08年末に稼働したカナダ第2工場にとどまった。
ホンダも寄居工場の当初計画では、カネに糸目をつけないで贅沢な工場を夢想したようですが、リーマン・ショックを経て中国の工場よりショボイ内容にトーンダウンしてしまったようです。