原発廃炉費用、10年間電気料金に上乗せして回収へ

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原発:廃炉損失、分割処理可能に 会計見直し案、電気料金で回収−−経産省- 毎日jp(毎日新聞)

現行制度は、電力会社が廃炉を決めた時点で(1)原発の資産価値がなくなることに伴う損失(資産減損)(2)廃炉作業にかかる費用の引当金(廃炉引当金)の積み立て不足−−を特別損失として一括処理しなければならない。巨額の損失処理が一気に迫られるため、電力会社は廃炉に慎重にならざるを得ない。
 
有識者会議は「廃炉費用を電気料金で回収できなければ、円滑で安全な(原発の)廃止措置に支障が出る恐れがある」と指摘。廃炉決定後も電気料金から廃炉引当金を積み立てることを認める。また、現在は原発稼働が前提の積み立てについて、運転停止中も計上を認める。さらに、原発の資産価値が廃炉決定で一気にゼロになるとはせず、徐々に減っていくとして、それに対応した費用(減価償却費)を電気料金に転嫁できるようにする。
 
東電の福島第1原発の廃炉では、東電がすでに計上した廃炉コスト見積もり分(9600億円)を超える追加設備の取得費が発生する場合、その分を電気料金の原価に算入することを認める。同原発では放射線量の高い場所での作業への無人ロボット投入など特別な設備が必要。廃炉費用がどれだけ膨らむかは不明で、制度見直しが大幅な電気料金値上げにつながれば、利用者の反発も予想される。

原発やめろと大合唱しても、債務超過で経営が成り立たなくなるなら、そんなことやる経営者はいないでしょう。
「廃炉したほうが経営合理化になる」制度を作るしか、原発から足を洗わせる方法はありません。

でもその費用は誰かが負担しなければなりません。 税金を投入するか、電気料金に上乗せして払ってもらうかの二者択一です。
常識的に考えれば、受益者負担ということで電気料金に上乗せすることになりますね。

ただ、現行の会計制度のまま、原電が同2号機の廃炉を決めれば、資産価値の喪失や引当金の積み立て不足などで1000億円規模の損失処理が一気に迫られる。純資産が1600億円強の原電の経営に深刻な打撃となるのは必至。今回の会計制度変更で負担の大幅な軽減にメドが付けば、同2号機の廃炉判断に影響する可能性がある。経産省幹部は「原発の安全基準を巡る環境が激変する中、電力会社が廃炉を決断するのに制度変更は不可欠だ」と説明する。
 
一方、制度変更には東電の福島第1原発事故処理を側面的に支援する狙いもうかがえる。東電が見込んだ同原発1〜4号機の廃炉費用に加え、過酷事故を起こしたことで追加的に必要となった費用も電気料金で回収できる道が付くからだ。市場関係者は「制度変更は東電の財務の安定化に寄与するだろう」と指摘する。問題は更なる値上げに利用者の理解が得られるか。経産省の試算によると、新制度を使えば、廃炉費用が100億円増えるごとに、東電の電気料金(月8000円程度の標準家庭)が1・9円上がる計算という。

福島第一だけで10兆円掛かるとしたら、100億円の千倍ですから標準家庭で1900円の負担増ということになりますね。

日本はまだ1基たりとも、原発の廃炉を完了させたことがありません。 メルトダウンした福島第一は例外としても、どれくらいの費用がかかるのか、想像がつきませんね。

たとえシェールガス革命が波及してLNGが安価に調達できるようになったとしても、電気料金は高止まりしたままになるでしょう(都市ガスは相対的に安くなる)。
「安価」と言われた原発で作った電力を享受してきたツケは、これから気が遠くなるほどの長期間、支払っていかなくてはならないのでしょう。