「原油価格」でロシアを追い詰める「新冷戦」の構造 | 新潮社フォーサイト

オバマ大統領は9月10日、アブドラ国王と電話協議し、今回はイラクやシリアで猛威をふるうイスラム過激組織「イスラム国」を封じ込めるため、組織の資金源となっている石油の価格引き下げを要請したという。米政府は他の湾岸諸国にも価格引き下げを働きかけている模様だ。オバマ政権の原油価格引き下げは、当面の敵である「イスラム国」とロシアを標的にしているかにみえる。
 
英紙フィナンシャル・タイムズ(9月6日付)によれば、サウジはこれより先、アジアや欧州向け原油価格を10月に引き下げることを決めた。原油供給が過剰となる中、サウジの減産説があったが、当面減産はしない方針という。国際原油価格は8月中旬に1バレル=108ドルの高値を付けた後急落し、9月中旬には同91ドルまで下落した。
 
エネルギー専門家は「イランやイラクが石油のダンピング攻勢をかけているほか、米国もシェールオイルの輸出を解禁するなど、原油供給が過剰になっている。一方で、欧州連合(EU)の経済停滞や中国経済の減速で石油需要が低下しており、今後原油価格の下落が続くのは確実。地政学リスクは今回は考慮されていない」と指摘する。

日本が買っているLNGは原油価格に連動していると聞いたことがありますが、発電用燃料の調達コストが下がるといいですね。