撤退戦略としての「地方創生」

地方創生は成長戦略と矛盾する:日経ビジネスオンライン

--ほかに、現状認識と政策のずれが懸念される分野はありますか。
 
小玉:安倍政権の成長戦略の方向性はおおむね正しいと思います。規制改革を軸にするのはうなずけます。しかし個別に見ると、例えば地方創生は「逆成長戦略」になってしまう可能性が非常に高いのではないでしょうか。
 
地方創生はいかに地方の人口を減らさないかという話です。人口の足りない部分は東京など都市部からの移動を促すしかない。そうすると格差は縮まるかもしれませんが、国民全体を平均すると豊かになるのかという疑問があります。(中略)
 
--地方創生と成長は矛盾するリスクがあるということですね。しかし、政治的には言いにくいことです。
 
小玉:もちろん地方創生も大事です。ただ、それを成長戦略として打ち出すのは無理がある。あくまで分配政策としての割り切りが必要です。
 
国立社会保障・人口問題研究所の予測では、日本の人口は2060年までに3割減ります。すべての県で人口を増やすのは無理です。過疎地は振興策よりも名誉ある撤退策を考えたほうが近道ではないでしょうか。

その通りだと思う。 コンパクトシティ化の為の投資ならいいけど、バラマキはやめて欲しいね。

でも都市部の出生率が低いという意味では、若者を「下放」するというのも理にかなっているんですよね。
石破大臣は鳥取選出なので、地方の実情は嫌というほど分かってると思うけど、果たして厳しい判断が出来るかどうか。

--それでも、10月頃に追加緩和があると予想していますね。なぜですか。
 
小玉:日銀が目標とする2%の物価上昇に届かないからです。目標を2%から1%程度に変えれば追加緩和は必要なくなるかもしれませんが、それではアベノミクスが失敗したという攻撃を浴びてしまいます。目標達成時期の先送りも日銀の選択肢になります。
 
金融政策は時間を稼ぐことしかできません。その意味では合格点とも言えます。やはりアベノミクスの成否は3本目の矢の成長戦略にかかっています。
 
成長戦略の歩みが遅いという批判もありますが、決してそんなことはないと思います。誰が首相になっても成長戦略を華麗なるスピードで進めることは不可能です。抵抗する人たちがいますから。安倍首相が政権の座についてから、過去10年、全く動いていなかった分野の改革が着実に動いています。
 
農協改革は一昔前なら農水族につぶされていたはずです。医療改革も特区も進んでいます。安倍首相の下での官邸の力はかつてないほど強くなっていますので、成長戦略を進めやすい素地は整っています。地方創生などの例外はありますが、成長戦略は大いに期待が持てます。

でも成長戦略を実行できたら、潜在成長率はどれくらい上がる見込みなのかな? やらないよりはマシだけど、魔法の杖はない訳で。