キリン低迷の原因は「ヒット不足」ではない:日経ビジネスオンライン
企業をある方向に導こうという時には、2つの軸があります。1つは短期的な利益とかシェアの目標。もう1つは長期的な夢や理想です。
この2つの軸で比べた時、キリンとサントリーは非常に対照的な企業だと思います。サントリーはオーナー経営ということもあり、短期的な収益には目をつぶってでも、長期的に実現したい夢に合致するのであれば、それに賭けようとする会社です。かつて不可能といわれていた「青いバラ」を実現したのはその象徴的な例ですね。
アルコール類でも同じ。何十年も赤字だったビール事業など、オーナー経営者でなければ我慢して持ち続けることはできなかったでしょう。「ビール事業がなければ飲料メーカーとして一流ではない」と考えた創業家が長年耐えてきた中で、ある時、それが花開いたわけです。
何十年も停滞していたウイスキー事業にも粘り強く取り組みました。私たちが学生の頃は「オールド」などをよく飲んでいましたけど、その時代から見たら、たぶんウイスキーの市場規模は何分の1かというところまで縮小しているでしょう。でもサントリーは捨てることなく抱え続けた。そして、CMや販促キャンペーンでハイボールブームを仕掛けたのです。途中で事業を諦めていたらできなかったことです。
その「長期的な夢や理想」を持ち続けるためには、カリスマによるストーリーが必要だと思います。 「伝説」でも「神話」でも「ビッグマウス」でも何でもいいのですが。
でもそんな会社はなかなかないよね。