中東からの「民族大移動」はEU崩壊の最後の引き金になる?

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欧州の移民危機:「人道主義」と「緊縮」のミスマッチ(ブレイディみかこ) - 個人 - Yahoo!ニュース

それがいい悪いは置いといて、キャメロン首相の難民受容への慎重さと、彼の緊縮策とは完全に路線が一致している。この一致をずらして、いきなり心優しい政治を始めれば、国内でも非人道的な政策は続けられなくなる。彼が言う「英国は頭とハートの両方で行動する」とはそういうことだろう。
 
実際、この前代未聞と言われる移民・難民の流入を受け入れ、彼ら一人一人に住居を与え、生活費や仕事や教育や医療を提供し、まだ現地にいる彼らの一族を呼び寄せさせる行為を本気でやるつもりなら、緊縮財政は持続不可能になる。
メルケル首相が「人道主義は欧州の普遍的価値観」と言うとき、欧州が行っている緊縮はその普遍的価値観と根本的に矛盾している。

ゲルマン民族の大移動」は現在の欧州が形成されるきっかけとなった歴史上の大きなイベントでしたが、今回のシリアを中心とした難民のEUへの流入はそれに匹敵するインパクトを与えるかもしれません。

西側の失政が難民危機招く EU、割当制巡り“東西対立”も激化  WEDGE Infinity(ウェッジ)

こうした欧米の失政の一方で、難民危機はEU統合の最大の成果の1つである域内の「自由移動政策」にも大きな影を落としている。難民たちが比較的容易にEU各国を移動できるのは、加盟28カ国の域内移動の自由を容認した「シェンゲン協定」があるからだ。各国の国境で出入国審査を受けることなく、フリーパスで他国に入国することが可能になった。
 
ところが、大量の難民に対処仕切れなくなったハンガリーはセルビアとの南部国境に有刺鉄線のフェンスを張り巡らして流入を制限、またマケドニアもギリシャとの国境を一時的に閉鎖、オーストリアもハンガリーとの国境で入国審査と検問に踏み切り、自由な移動と通行というEUの中核的な理念が崩壊の危機に直面した。

本来なら欧州でよくある城壁都市のようにEUの外周をしっかり固めて、その中で自由な往来を認めるべきなんですよね。 旧ECくらいの規模だったらともかく、EUは手を広げすぎたように思います。

ギリシャ問題でユーロ崩壊が語られましたが、もしかすると移民問題によりEUを離脱する国が出ても不思議ではありません。

焦点:難民危機が問うEUの真価、再び深まる「東西の亀裂」 | Reuters

難民危機は、約10年前に中東欧10カ国がEUに加盟して以降初めて、東西の亀裂を引き起こした。新たな加盟国のほとんどは、難民受け入れ枠の割り当てに反対しており、一部の国は宗教的な理由をはっきりと掲げている。
 
一方、オーストリアのファイマン首相は、東側各国が負担を引き受けないのであれば、こうした国への将来的な資金援助もEUは考え直すべきだと反発した。
 
かつて共産政権による弾圧で大量の難民が西側に逃れたハンガリーとチェコやスロバキアも現在、難民受け入れ枠の設定には強硬に反対している。

東西対立ももちろんですが、最初のEU離脱国は英国になる可能性もありますね。

EU離脱支持派が50%上回る、難民危機が影響か=英世論調査 | Reuters

英紙メール・オン・サンデーの委託でサーベイションが実施した英国の世論調査で、欧州連合(EU)離脱を支持すると回答した人は51%となり、残留支持派の49%を上回った。EU離脱派が数カ月ぶりに残留派を逆転した。欧州への難民流入問題が悪化すれば、離脱派がさらに拡大する可能性がある。
 
残留を支持すると答えた人のうち22%は、移民や難民をめぐる危機が悪化した場合は考えを変えるかもしれないと答えた。
 
キャメロン首相は、17年末までにEU離脱の是非を問う国民投票を実施すると公約している。首相はEUとの交渉で英国に有利な条件を引き出したうえで国民投票に臨みたい考えだが、難しい状況に直面しつつあることが浮き彫りとなった。

みんながみんなマザー・テレサ級の人道主義者というのはあり得ない訳で、自分のパンを赤の他人に分け与えることが出来る人は少ないでしょう。
「労働力不足のドイツは移民を歓迎している」という話も聞きますが、これが新たな「ヒトラー」の台頭を促さなければ良いですが。