「神様制御」を前提に電力網は運用できない

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「遠隔制御の導入、予測精度の向上で、出力制御率は下がっていく」、九州電力・能見執行役員 - メガソーラー - 日経テクノロジーオンライン

能見 こうした実績値に基づいた需給制御シミュレーションは、神様のようにすべて知っていて制御するという意味で「神様制御」などと呼ばれています。ただ、現実には天気予報から、太陽光と風力の合成出力を予測しているので、ぴったりと出力を予測するのは、難しいのが現実で、「神様制御」による出力制御率を実現することはできません。(中略)
 
出力制御率に関して、実績値に基づくデータを使った議論が見受けられますが、電力網の運用において、予測が完全に的中することを前提とするのは、現実的ではありません。

太陽光発電の出力抑制の引き金を引いたということで九電は叩かれましたが、このインタビューで言われている理屈については概ね理解できます。

ただし、電力需要が少なくて太陽光発電の多い「晴れたゴールデンウィーク」に原発4基がフル稼働するのを前提とするのはどうなんだ?と思います。

原発再稼働の是非は置くとして、電力需要が少ない時期に定期点検で停めればいいんじゃない? 一度に4基停めても電力が余っているくらいだから問題ないでしょ?

ところでその原発ですが、今後は「いつまで使うのか」が焦点になるでしょうね。

「ベストミックスの“敗者”は原発。再エネはFIT後に自立的に普及へ」東京理科大・橘川教授に聞く - メガソーラー - 日経テクノロジーオンライン

――今回、ベストミックスを議論した「長期エネルギー需給見通し小委員会」では、廃炉と並行して同じ敷地内に新しい原発を建設する「リプレイス」について、全く議論しませんでした。
 
橘川 本来、エネ庁は、議論のテーマにリプレイスも加え、それを前提にもっと高い原発比率を目指したかったのだろうと想像します。しかし、世論を気にする官邸が、「今回はリプレイスの話をしてはいけない」と注文を付けたのだと思います。リプレイスなしの場合、60年に延長しても原発比率の上限は23%になります。
 
――それなら、原発を「23%」にすることもできたはずです。
 
橘川 23%にすると、今度は再生可能エネルギーの「22%」を超えてしまいます。世論を意識する官邸は、「再エネの比率が原発を超えるように」との条件を出しており、それをクリアできません。そのため、政治的な判断で22%に落ち着いたのだと思います。つまり、「S(安全)+3E(経済性・環境性・安全保障)」というエネルギー政策の基本をきちっと考えたというより、こうした数字合わせだったのです。

「ガン」はエネルギー庁だね。 経産省から環境省の傘下に移したほうがいいんじゃないのかな?

――太陽光、風力の導入可能量は、設置コストよりも、むしろローカル系統や地域間連系線がボトルネックになるとの見方もあります。
 
橘川 再エネの送電線問題は、解決されるとみています。理由は3つです。1つは、原発の廃炉で送変電設備に空きが出てきます。九州電力の接続保留問題では、玄海原発の1号機・2号機が動く前提で議論しましたが、実際には動かないでしょう。全国では、40年廃炉基準ですでに5基廃炉になり、さらに2030年までに25基廃炉になります。それらで空いた送変電設備の一部は火力に使われますが、再エネにも使えます。まず、こうした廃炉による送変電設備活用のシミュレーションを行うべきです。

将来のいつかには、廃炉された原発の周辺は居住制限区域にして、太陽光パネルを敷き詰めて発電する時代が来るのかもしれないね。