日産リバイバルプランがもたらしたもの ゴーン問題の補助線(2) - ITmedia ビジネスオンライン
それらの大手術によって日産は全く別の会社になってしまった。伸びの見込めるマーケットに選択と集中を図り、2つの地域事業に特化した。アジアを中心とした新興国では廉価なクルマを薄利多売するメーカーになり、北米ではインフィニティブランドで高付加価値マーケットにエントリーする。
サニーやプリメーラやセドリックに代表されるこれまでの普通の日産車の階層がごっそりと抜け落ちた。古いモデルをモデルチェンジもなしに放ったらかしにしたり、廃盤にするばかりでニューモデルが出てこない。ヒットモデルであるジュークですら2010年にデビューしたままモデルチェンジもなし。ジュークの属するコンパクトSUVというジャンルは現在各社が血眼で競争しているホットなクラスであるにもかかわらずだ。
ごくまれに日本国内で新型車が発売されても、ほとんどが海外向けのクルマのおこぼれに過ぎない。ミニバンと軽以外に日本国内マーケットを見据えたクルマは見事に出てこなくなった。
じゃあ古き良き総花的なフルラインメーカーがあるべき姿なのか? それを維持しようとしたから、会社が傾いたんじゃないの?
デフレの日本は今やタイより購買力が落ちている状況なので、高付加価値にも薄利多売にも行けない難しい市場です。 そういう意味では(あまり好きな言葉ではないけれど)「ガラパゴス化」した特殊な市場なんだよね。
ファン目線で残念に思う気持ちは分かるけど、自動車産業はビッグビジネスだ。 「事業」として回していくためには、利益が見込めるところに資源を集中するのは間違っていない。
販売店の整理・統合だって、本当に必要なら(儲かるなら)再び拠点を増やすのは難しくないよ。
むしろトヨタのようにこれから全車種併売化をしなければならないところに比べたら、日産やホンダは早めに手を付けておいてよかったのではないかと思う。
ただ日産は早くガバナンスを正常に持って行かなければ、内向きにエネルギーを使うばかりで競合他社に立ち遅れてしまうかもしれないね。
そっちの方が心配だ。