アルのこと

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嫁が結婚前から飼っている犬がいる。 名前はアーノルド。 通称アル。 シュワちゃんから名前をとったのだそうだ。

母親は血統書付のラブラドール・レトリバーなのだが、飼い主の目を盗んでの密通の結果生まれた子供らしい。 母親は真っ黒なのだが、6匹生まれた子供のうちアルだけが白だったそうな。

嫁と付き合いだした頃、晩飯を食いに行く前に、よく一緒に散歩をした。 おしっこやうんちは一応しつけてあったのだが、散歩になるとグイグイ飼い主を引っ張る。 それだけならまだしも、デカイ図体であっちこっちへ気の向くまま行こうとするので、義母などは何度も転んでしまったらしい。

結婚してから2年間は、独身時代から住んでいた公団アパートで暮らしていたので、当然ながらアルを連れて行くことはできなかった。 人目を忍んで室内犬を飼っている人はいたが、アルは大型犬である。 「アル、小さくならないかなぁ」と嫁はよく呟いていた。

一軒家を買うことなど全く考えていなかった自分が、不動産屋の営業マンと会って2週間で仮契約までしたのは、半分は嫁のため、もう半分はアルのためと言ってもよかった。
ただ問題は共稼ぎなので、昼間はアルひとりになってしまうこと。 さらに、実家では八畳の土間を占有して寝起きしていたので、いまさら外で生活できるかという心配もあった。
案の定、昨年末に連れて来た時には、庭につないでおくとキャンキャン大きな声で鳴いてしまうので、一晩ももたずに実家へ連れ帰ることになった。