アルのこと(2)

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そんなアルの体に変調が起きたのは、今年の2月のことだった。

以前から目が白く濁ってきており、暗くなると躓いたりぶつかったりしていたのだが、左目が腫れて飛び出してきたのだった。 病院へ連れて行くと、緑内障が進行して牛眼になっているとのこと。
投薬や注射で抑えようとしたのだが、結局4月の初めに左目の摘出手術を受けた。 それでも本人はいたって元気で、相変わらず飼い主を引っ張りながら散歩に行っていた。

だが、手術の前後にカラーを着けていたせいで、タレ耳で耳垢が溜まりやすいアルの耳は、細菌が繁殖して化膿してしまった。
さらに右目の方も緑内障が進み、ほとんど見えなくなってしまった。 視力がなくなったストレスによるものか、実家の土間をウロウロと落ち着きなく歩き回るようになり、ついにはおしっこができない状態になってしまった。

病院に連れて行って検査してもらったのだが、その最中に右わき腹に腫瘍を発見した。 さらに尿道からカテーテルを入れようとしても、膀胱の手前でストップしてしまう。 エコーで調べても結石は見えないし、筋肉弛緩剤でも尿道は開かなかった。 エコーで左の腎臓肥大が判明したので、組織を採取して検査してもらったが、やはり悪性の腫瘍だろうという話だった。 尿道が詰まっているのも、そこに腫瘍が転移した可能性もあるという。