十石峠探訪(前編)

2003年 7月24日(木)

自分の勤務先では、毎年7月に三連休があるのだが、今年は東京電力の原発停止に伴う節電協力で、一日振替休日が増えて四連休となった。 本来なら、キャンプツーリングにでも出かけたいところであるが、事情があって泊まりは断念。 日帰りツーリングとあいなった。

今年は梅雨がなかなか明けてくれなくて、関東地方の梅雨明けは八月になるという話もある。 四日間のうち、一日でも晴れてくれればと思っていたら、初日から晴れ間が見えたので、チャンスを逃さず出かけることにした。

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衛星放送のヤンキースの試合を観てたりしたので、出発は11:00になってしまった。 県道15号(川越日高線)からR299へ入る。 こっちの方へ来るのは雪中BBQ以来だ。 県道から一緒に走っていたジュベルは、顔振峠の方へ上がっていった。 平日ということもあって、ダンプが多いのではと危惧していたが、幸い引っ掛かることもなく 11:40正丸トンネル入り口へ。

ここで何故か渋滞が発生。 どうやら交互通行になっているらしい。 なんでだろう?と前方を見ると、路肩に「夏季電力不足によるトンネル内消灯時 徐行」の立て看板が。 おいおいマジかい? もしかして片車線消灯中!?

やがて車列が動き始めてトンネル内に入ると、センターラインのポールの交換工事をやっていた(対面通行なので)。 お願いだから夜中にやってくれ。

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トンネルを抜け、芦ヶ久保に差し掛かった時、自分の前を走っていた2台のクルマが左折して、前走車との間隔が開いた。 その時、左から軽トラが対向車線に右折してきた。 「おいおい、後ろからダンプが来とるよ」と思ったのも束の間、その軽トラが勢い余って対向車線から自分の車線にまで曲がってきた! その距離10m。 フロントには枯葉マークが貼ってあった。

その時は40km/h程度で走っていたのだが、リヤブレーキをロックさせてテールスライド(この辺りの路面は砂が浮いている)。 カウンターを当てながら間一髪で避けることができた。 おそらく焦って右折してハンドルを戻すのが遅れたのだろう。 いくら”思いやりのある運転を”と言われても、「ジジイ免許返上しろ!」と怒鳴りたかった。

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そのような事がありつつも、無事に(?)秩父市街を抜けて小鹿野へ。

これから山道へ入るので、セブンイレブンで弁当とお茶を買い、スタンドで給油する。

12:32 小鹿野高前交差点を左折して、県道37号(皆野両神荒川線)に入る。

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小さな山を越えて降りると、地図に載っていない交差点とトンネルが。 どうやら新しくできた道らしい。 あのトンネルはどこへ出るんだろう? そろそろ2001年版の地図じゃダメだな。

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宮戸の交差点を左折して、県道71号(吉田万場線)へ。 後で考えたら71号線は、土坂峠を越えた時に通ったことがある。 交通量が少なくて、走りやすい。 天気もいいし、路肩には花も咲いてるし、気持ちいいなー。

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塚越交差点で県道282号(藤倉吉田線)へ左折すると、左手に合角(かっかく)ダムが見えてくる。 ダムの手前にあるのは吉田町元気村。

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吉田川に沿って遡っていくと、殿谷戸の辺りに毘沙門水と書かれたスタンドがあった。 飲んでみなかったので味の評価はできないが、結構名の知れた名水らしい。

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12:50 倉尾中学校の看板がある体育館の脇を過ぎると、行く手に樹木に覆われた小さな洞門が。 長さは短いようだが、幅員は狭い。

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Webで調べてみると、この洞門は”かなめとんねる”といい、昭和11年に出来たものらしい。 ここを一日5往復、西武バスが通っているそうだが、運転手は尊敬に値するな。

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細い川に沿って、集落は山深くまで点在している。

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最後の集落を抜けると、急に路面の汚れが激しくなる。 道端には”林道 二子山線”という看板が。

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蛇行しながらの上り道。 実際の見た目は写真よりも暗い。 一応舗装はしてあるのだが、所々アスファルトが剥れて大きな穴が開いている。 木の葉が散乱しているので、スリップに神経を使う。

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13:07 T字路に出る。 はて? どちらへ行くべきか。

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この辺りは、いくつかの林道が交差する地点で、どの道がどれなのか判断がつきにくい。 右手の角には”林道 西秩父線”の看板が立ててあるが、これはどちらの道を指しているのだろうか?

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正面にはこのような杭が立ててあった。 142号って何だろう???
とりあえず左の道がカーブしながらまだ上っているので、行ってみることにする。

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一分も走らないうちに、またもT字路に突き当たる。 今度はちゃんと標識がある。 左に行くと林道高萩線で、右に行けば万場町へ降りられるようだ。
どうやらここが峠だったようで、このあと道は下り坂となる。

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急に視界が開けた。 向かいの尾根は御荷鉾林道の方角だろうか。 雲の上にとんぼが写っている。

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長雨の影響か、道の真ん中に苔が生えている。 こういう道は走ってても楽しくない。 そそくさと走りぬける。

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13:24 青梨にてR462に出た。 どうやらミスコースはしなかったようだ。”林道 坂丸線”の看板があった。 ツーリングマップルには載っていないが、矢久峠の東側に坂丸峠という地名がある。 最初のT字路を右に行けば、坂丸峠方面に行けるのかもしれない。

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R462を上野村へ向けて西進する。 神流川が陽光に輝いていて、夏を実感する。 正面の奇岩は叶山。

余談だが、今年の4月から中里村と万場町が合併して神流町(かんなまち)になったらしい。 R462沿いにはまだ”のぼり”が沢山立っていた。 これまで神流川を「じんりゅうがわ」と読んでいたのだが、「かんながわ」と読むとは知らなかった。

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13:41 道の駅「上野」に立ち寄る。 休憩がてら小鹿野で買ったコンビニ弁当を食べる。 景色の良い所で食べようと思って買ったのだが、適当な所がなかったのでここまで来てしまった。
 案内板を見ていたら、上野スカイブリッジという名前に目が止まった。 そういえば道の駅の手前で、山の上に吊り橋のようなものが見えた。 ついでなので立ち寄ってみることにする。

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R299から天空回廊への入り口はわかりやすいので迷うことはないだろう。 急坂の林道を上っていき、14:00到着。 途中にあじさいが沢山咲いていて、とてもキレイだった。 今年は梅雨が長いぶん、あじさいも長く咲いている。

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スカイブリッジは、「不二洞」という鍾乳洞と、「まほーばの森」という施設を結ぶ為に作られた歩行者専用橋梁だ。 全長255m、桁下90mという。 通行料として往復\100必要。

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橋の真ん中からの景色は、なかなか浮遊感があってよろしい。 谷を渡る風が心地よくて、しばらく涼んでいた。 これだけでも\100の価値はある。 一応、対岸まで渡ってはみたのだが、「まほーばの森」へは行かずに引き返した。

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再びR299へ戻り、十石峠方面へ。 14:23 楢原橋に到着。 やはり十石峠はまだ通行止めだった。 だがこの立て看板によると、今年の11月末開通を目標に工事を推進しているとのこと。 「本気で工事してます」という決意表明のようにも読める。 まあいくら難所とはいえ、国道が4年以上も通行止めというのは、ちょっと情けない。 上野村からの突き上げも強いのだろう。 また台風が来て、崩れるようなことのないように祈りたい。

通行止めは予期していたことなので、県道124号(小海上野線)をぶどう峠経由で長野県側に抜けることにする。 ぶどう峠は以前に通ったことがあるので、途中は割愛。

14:51 ぶどう峠に到着。 標高1,507m。 一台のクルマが停まっていて、おじさんがテーブルで何か作業をしていた。 ここは、いつも誰かしら人がいる。 うぐいすの鳴き声がとても力強くきれいで、エンジンを切ってしばらく聞き惚れてしまった。


後編へ続く