『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』

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マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男
マイケル・ルイス 中山 宥
ランダムハウス講談社 (2004/03/18)
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おすすめ度の平均: 4.6
5 新発見
5 明日から野球を見る目が変わります
5 野球は冷静で、熱い。

一気に読了しました。 読み物としても飽きさせません。
すべての野球ファンにオススメ。
イチローのいるマリナーズが、前半戦調子いいのにオールスター後は下降してプレーオフに出られない、という状況が昨年まで続いていましたが、その理由がよく分かりました。

「打者で重要なのは出塁率と長打率。打率や打点は重要ではない」
「”チャンスに強い”とか得点圏打率に意味はない」
というのは、目からウロコ。
「フェアグラウンドに飛んだ打球がヒットになるかアウトになるかは、投手の力とは関係ない」
というのは納得です。

でも、「走らない野球」「四球と長打で勝つ野球」と聞くと、なぜか強い時の巨人を思い浮かべちゃいますね。 そこに至るまでのプロセスは、全く違うんですが。

それと、走力を全く重要視しないというのも、ファンとして「どうかなぁ」と思ってしまいます。
今朝のヤンキース戦で、一塁走者のイチローはエンドランでもないのに、センター前ヒットで三塁まで行ってました。 イチローが塁上にいるだけで、相手バッテリーは牽制したりウエストしたりと、バッターに対する注意が殺がれます。 こういう効果を過小評価しているのではないかなぁ?

まあ、ビリー・ビーンとしても、走力や守備力は「投資効率が悪い」と考えているだけでしょう。 イチローが9人雇えるだけの経済力があれば、そりゃ「走・攻・守」三拍子揃った選手を獲るでしょうしね。
プレーを数値化する方法も、最初は打撃力だけしか評価できなかったのが、守備力と投手力も評価できるようになりました。 同じように走力についても、いずれ数値化できるようになるでしょう。

興味深いのは、この「ビリー・ビーンの兵法」が果たして弱者だけの為の兵法なのか、それともヤンキースなど金持ち球団でも適用できる兵法なのか、という点。 それと、弱小チームをプレーオフに進出させることは出来ても、ワールドシリーズで優勝することは出来ないのでは?という疑問。