ITmedia ライフスタイル:日本人はなぜオタクとなり得たか
関数電卓男の中でもっとも変わっていた人物が、いつも筆者のことを「おたくは~」とか「おぬしは~」とか呼んでいたのを、非常な違和感を持って聞いていたことを思い出す。正真正銘オタクの本物に出会ったのは、それが初めてだった。
これは『NHKスペシャル』で取り上げてもらうべき、重要な命題ですね。
自分は小寺氏より一世代下の年代にあたりますが、”オタク”という言葉を初めて聞いたのはいつだったろう? 『超時空要塞マクロス』で、主人公の男の子の「お宅は~」という台詞が印象に残ってて、その後”オタク”という言葉を聞いて「あ~、なるほど」と思ったような記憶がある。
ちなみに中二の頃にマイコンブームがやってきて、当時あったサンロード下関のマイコンコーナーで、友人とよく溜まっていました。 その友人はシャープのMZ-80 mk2を購入しました。 その後、姉がソニーのMSX(HitBit)を買ったりして、MSXマガジンのダンプリストを二人でシコシコ入力したり。 懐かし~。
ここでまず誤解のないように、まず本稿でのオタクの定義を明確にする必要があるだろう。このコラムとしては、かつてのオタクのイメージである根暗、ダサい、ロリコン、性犯罪者予備軍といった意味では扱っていない。一般の人があまり価値を認めない、なにかのテーマに没頭して研究するタイプの人間の総称という、かなり広い意味で捉えている。
”オタク”みたいなのを、外国ではなんて言うんだっけ? ”NERD(ナード)”だったかな(「ナードの逆襲」って映画があったよね)。 ジャン=ルイ・ガセーが Be を発表した時に、「これはGEEK(ギーク)に向けたものだ」と説明してましたが、技術系オタクはこちらの方が近いような。
肉体的な面に関してはまたいずれ考察するとして、ここではオタク的な行動原理をひも解くのに、精神的な部分に着目してみよう。たとえばネオテニー化したオオカミである犬に芸を仕込みやすいのは、いつまでも好奇心が旺盛で、変化を受け入れることができる柔軟な脳を持っているからだ。小型犬が歳を取ってもいつまでも子犬のようにせわしないのは、こういう点からも説明できそうである。
「ネオテニー」がどういう意味か、以前に調べたことがあります。 MocableTypeを始めた頃、株式会社ネオテニーの「ネオテニー」って何だろう?と思って。
日本の社会現象を見ていると、「幼稚だな~」と思うことがしばしばですが、これもネオテニーのせいなのかな。 でも、個体がネオテニーになることが進化だとしたら、それで社会が未熟になってしまうのは果たして本当に正しい方向なのかしら、と思ったりして。
理想的なオタクは、学生時代には親のメリットを最大限に生かし、社会人になっても経済的に苦労しない人生を歩む。筆者の知る限り、オタクでありながら社会人として生活している人は、オタクそのものを職業にしている人は別として、たいてい大手企業の研究員や開発などの重要な、だがどちらかといえば裏方の専門職であるケースが少なくない。
ツボにはまれば、バツグンの集中力を武器に難題をクリアするタイプである。オタク的な人材は、使いどころを間違わなければ、企業にとっては大きな戦力だ。したがって給料も悪くない。さらに独身というところにも、ポイントがある。自分の行動に干渉する人が居なければ、思う存分時間とお金を使うことができる。
このような、親からは勉強のことで文句を言われたことがなく、社会的には多少変人であるものの仕事はできるというタイプの人が、立派なオタクとなって日本の産業とカルチャーを支えていくのである。
ギクッ! た、確かにそーかも...