webCG | Essays 第8回:アメ車の味とはなんなのか? ~日欧のクルマと違う道へ(前編)
皆さんはこんなことを思ったことはないだろうか。
「クルマの技術って、メーカーによってそんなに違いがあるの? どのメーカーだって、最新コンピュータ技術を導入しているし、生産技術は上がっているし、他社関連の情報だってウェブ上に溢れかえっている。だいたい、比較車両としてどのメーカーも競合車は購入してバラバラにして詳細解析しているのだから、同じ価格帯のクルマならどこのメーカーも似たようなクルマになるでしょ……」
確かに一理ある。ところが、現実には各社モデルには技術的な差がある。その差を背景として、各車の“味”も変わってくる。特に、乗り味、走り味の差は大きい。
その原因は、購買コスト&製造コストとの兼ね合い、開発責任者のこだわりやエゴ、実験担当部署の重鎮との社内的なしがらみ、開発担当役員の“鶴の一声”……など様々だ。
まあ技術的な差ももちろんあるよね。 販売台数の違いによるコスト(掛けられるお金)の差もあるし、優秀なテスト部隊を抱えているかどうかというのもある。
でも一般的に”味”と言われているものは、社内でも明文化されていない「クルマ作りの文法」みたいなもんで、意図的に出そうと思ってしているもんでもないね。 新入社員が先輩に怒られながら仕事のやり方を覚えていくうちに、自然と身に付ける考え方みたいなもんで、まさに味噌や日本酒の蔵の味というか、継ぎ足しながら受け継がれた秘伝のたれというか。
ただ、惰性に流れて時代にそぐわなくなったりすることもあるので、絶えず新しいことにトライしていかないと、そのうち客が来なくなる。 常にそういう改革ができるメーカーだけが生き残ることができるのだと思う。
ステーキとチーズバーガーがない世界は寂しいので、アメリカンメーカーには頑張ってもらいたいですね。