DrivingFuture - 満を持して公表された燃料電池技術 フォルクスワーゲンの最先端テクノロジー
今回発表になった新技術のポイントは、彼らが“第二世代”と呼ぶ “高温”燃料電池スタックだ。燃料電池スタックとは水素と空気中の酸素を化学反応させて電気と水を取り出す、いわば“水素発電装置”のこと。この化学反応にともなって熱が発生するが、従来の自動車用燃料電池スタックでは、内部にある「イオン交換膜」という部位が熱に極端に弱いため、80℃程度に冷却しておかなければならない。これにはディーゼルエンジンの3倍もの能力を持つラジエターが必要であり、また80℃に温度を保つことで、理論上最高速度が140km/h程度までしか高めることができなかったのである。
しかしこの新技術を実用化できれば120℃程度の冷却で済み、その結果、燃料電池車で約200km/hという最高速に到達しそうな勢いなのだ。
ふーん。 ホンダのFCXコンセプトは最高速度160km/hらしいけどね。
でも燃料電池のラジエターについては、いままであまり話題になったことがなかったので意外でした。
ここまで完成度を高めた“第一世代”の技術を捨ててまで、なぜ第二世代の高温スタックに乗り換えるのだろうか。
「現時点で、コスト、量産性、信頼性といった市販車に必要なパフォーマンスを総合的に評価すると、低温スタックの方が勝っています。しかし、2015年ごろには、高温スタックの技術が追いつくでしょう。そして、2020年までに量産モデルを試乗に送り出したいと考えています」と、同社で次世代パワートレーンと代替燃料の研究を担当するウォルフガング・シュタイガー博士は言う。
(中 略)
前述のように燃料電池の重要な部品である「イオン交換膜」の耐熱性を高めたことにより、ディーゼルエンジンの3倍もの能力が必要だったラジエターを、コンパクトにできたのである。もうひとつの大きな問題、水についても解決策が見つかっている。高温スタックでは、発電する過程で発生した水がイオン交換膜の中に含まれる「リン酸」という物質を洗い流してしまうことで耐久性を低下させていたが、フォルクスワーゲンでは半導体に使われる印刷技術を応用することで、高温スタックのネックだと言われていた耐久性を格段にアップすることにも成功している。
東京ガスの「なるほど!燃料電池」を見ても、作動温度の高いリン酸形燃料電池(PAFC)の方が効率は高いみたいですからね(でもPAFCは小型化には向かないのでしょうが)。 ただ作動温度を高くすると、低温(零度以下)からの始動性には不利になるので、その辺りが難しいところでしょうね。