産経新聞 - 再加速あえぐ日産 国内生産12・7%減…8年ぶりの人員削減
早期退職制度は45歳以上で、管理職ではない一般職員が対象。6月1日から来年3月までの間に退職すれば、年齢に応じた退職加算金が支払われる。千数百人の応募を想定している。
日産の人員削減は、現在のカルロス・ゴーン社長が最高執行責任者(COO)だった11年10月に発表した「日産リバイバルプラン」で、2万1000人の人員削減を打ち出して以来8年ぶりだ。
8年前の人員削減は、「それをしなければ生き残れない」という施策でしたが、今回のは調整の域にあるもので大騒ぎするほどのものでもないです。 千数百人が早期退職したからといって、今の苦境の原因がなくなるわけではないですから。
ただホンダなど他社が国内販売の不振を輸出でカバーできているのに対し、日産は輸出も-8.4%だからね。 国内販売の規模に対して、生産能力がまだ大きすぎるのかもしれません。
日産グループの国内完成車4工場の生産能力は年間約163万台だが、国内販売や輸出の不振で06年度の生産実績は前年度比12・7%減の119万台。2工場で減産しており、急回復も見込めないことから人員削減に踏み切ることにした。
ホンダは3工場(鈴鹿、狭山、八千代)で135万台くらいでしょう。 今後も国内販売(軽含まずで2006年度は約60万台)が横ばいもしくは微増と想定するなら、163万台というのは多すぎるのかも。 軽の自社生産に踏み切るか、工場を1つ閉めることになるのでしょうか。
ちなみに、ホンダと日産の2001年度以降の世界生産台数の推移は、以下のようになっています(出典は両社のプレスリリースより)。 販売台数ではないので、スズキや三菱からの軽のOEMは含まれていません(逆にADバンやセレナのOEM供給分は含まれる)。
2001年度 | 2002年度 | 2003年度 | 2004年度 | 2005年度 | 2006年度 | |
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ホンダ | 2,692,264 | 2,961,760 | 2,991,338 | 3,257,795 | 3,442,869 | 3,702,392 |
日産 | 2,474,888 | 2,761,375 | 3,063,071 | 3,313,959 | 3,438,340 | 3,205,496 |
2005年度までは、ほぼ同じ上昇ペースできていたのですが、2006年度だけで50万台近い差が出来てしまっています。 ちょっと驚きですね。
ホンダは2010年度に450万台を目標にしているようですが、年間20万台ずつ伸ばしていけば到達できます。 外部要因はさておき、実現性は高そうです。
日産は、「日産バリューアップ」で平成20年度(2008年度)に420万台(軽含む)の販売を掲げていますが、2年で70万台以上の上乗せはかなり厳しいでしょうね。
問題は日産の今後の推移で、「昨年度はたまたま新車のタマがなかっただけ」で、今年度は盛り返すのか? それとも「売れないのは商品構成が市場と合っていないから」で、今年度も横ばいあるいはさらに下落するのか?
いずれにせよマラソンと同じで、いったん離されたホンダをキャッチアップするのは、そう簡単ではないでしょう。 このまま2位ホンダ、3位日産の順位が定着するのかもしれません。 まあ既に日産はルノーと一心同体なんで、本来は日産・ルノーとして数えるべきなんでしょうが。