例えば『地球環境報告』(石弘之著)にはアフリカのサヘル地方を中心とした地域での人口増加による砂漠化の状態が生々しく報告されている。人口増加による農業生産圧力増大のため,休耕地の短縮や無理な輪作,そして森林の限度を超えた伐採などで生態系が破壊され,砂漠化が進行する。これはサヘル地方だけではない。もしこのまま人口爆発を止めなかったらどうなるのか?
ヒューマニストが行っている救済活動は,「増え過ぎた人たち」をそのまま維持し,さらに多くの子供が生まれることで人口爆発をどうしようもない段階にまで至らせ,その結果自然環境に致命的な破壊をもたらしかねない。大切なのは,人口を減少させることである。だから飢餓は放置せよと。
平成の時代にあって,異なった形態ではあるが「もののけ姫」と「ナウシカ」の問いは存在している。エコロジーかヒューマニズムか? どちらの言い分ももっともである。
よく自然をテーマにしたドキュメンタリー番組で、氾濫した河に飲み込まれるヌーとか、巣から落ちた雛鳥なんかが出てきますが、子供の頃は「なんで助けてあげないの?かわいそうだよ」と思いながら観ていました。 今でもかわいそうだとは思うのですが、でも「仕方ない。これも自然の摂理だ」とも思います。 そうやって命を落とした動物も、野生の世界の食物連鎖の一部です。
人間が大事にする自然は、人間にとって好ましい自然だけだと書いてあったのは、『銀河ヒッチハイクガイド』だったかな? 「不都合な真実」という映画がありましたが、人間にとって「不都合な自然」というのもありますね。 「ナウシカ」の腐海の森なんてその類です。
子供の頃に読んだ本の中で印象的だったのが「蜘蛛の糸」でした。 自分が助かりたいという欲求と、他の人を見捨てるのかという葛藤は、永遠のテーマなんでしょうね。
何が正義かなんて分からないし、正解などない。 あらゆるものに限りがある以上、すべてを救済するのは救世主だってムリ。 とはいえ何もしなくていいとも思わない。
「ワクチンで救える命」も分かるけど、その子はそのあと食べていけるのか? それよりは、灯油が買えなくて布団を何枚も重ねて寝てる、東北のお年寄りの方が心配だよ。
遠くで命を落とす人を助けろって言われても難しいけど、目の前で躓いた人を助け起こすのは誰でもするよね(そうでもないか)。
まあ、そういうことです。
すべての人に、メリー・クリスマス。