道路予算は地方を救わない (宮田秀明の「経営の設計学」):NBonline(日経ビジネス オンライン)
国の経営を、論理に従って清々粛々と行うのが為政だと思う。しかし国会では、論理のよく分からない議論が横行している。例えば福田康夫首相の「地域の自立・活性化や国民生活に必要な道路整備を実施するため、暫定税率は今後10年継続しなければならない」という説明は論理的に正しいのだろうか。
道路を整備することが、産業にどのような直接的効果をもたらし、市民にどのような間接的効果を及ぼすのかを試算して数字で示すことが求められる。さらにその効果は、この予算を別の事業に用いた時の効果と比較し、優劣判定を行ったうえで政策を選定するのが論理的な為政である。
実に正しい主張だね。 与野党の政治家も、古館をはじめとするマスコミの連中も、FUDで一般市民の不安を煽り立てるばかりで、なんでこういうことが言えないかな?
費用対効果(OUT/IN)で面白い話も。
関東運輸局の依頼で、東京湾の有効利用の研究を以前に行った。東京湾アクアラインのできる前のことだ。木更津と川崎の間をフェリーで結び、道路の渋滞を解消しようというものだった。この答えは簡単だった。車を80台積めるフェリーを10~15隻建造すれば、日量7000台の車を片道1時間もかからないで運べる。
1隻20億円ぐらいだから、船舶に200億~300億円、その他を含めても600億円ぐらいの投資で賄えそうだった。フェリー案では運航費が確かにかかる。だが、総工費1兆4400億円をかけて50年計画の償還がまず不可能なアクアラインの案とは比較検討さえされなかった。
まったくね。 いまだにアクアラインは使った事ないです。 東京湾フェリー(横須賀~富津)は何度も使いましたが。
第2国土軸の調査研究も行った。近畿地方の和歌山から四国の徳島・愛媛を通って九州の大分を結ぶ交通輸送路が第2国土軸と呼ばれる。
現在、このラインは、和歌山・徳島間と八幡浜・臼杵間がフェリーで結ばれている。この2カ所に橋やトンネルを作ることは論外なので、フェリーを高速化して船によって第2国土軸を実現しようという研究だった。
コンピューターシミュレーションや現地調査を行い、卒業論文として取り組んだ研究の結果はネガティブだった。高知県または愛媛県と、宮崎県または鹿児島県の間の交通・輸送に対してしか効果はなく、その間の貨物と人の流れはごく微量だったのだ。紀伊半島を東西に貫く道がないこと、中国道・山陽道・九州道が充実しているうえに、瀬戸内海に3本も橋がかかっているのが理由だった。
2度ほど和歌山・徳島間と八幡浜・臼杵間をフェリーで渡りましたが、単純に費用や所要時間で考えれば、山陽道経由の方が早いと思います。 「紀伊半島を東西に貫く道がない」のは同感。 和歌山から鳥羽まで行くのはちょっと大変でした。
国土交通省のシュミレーションなんて、外れてばかりで当てになりません。 こういう第三者機関によるシュミレーションを提示して、それを元に議論するようにしましょうよ。