タイにはタイガーという、ホンダのコピーバイクを作るメーカーがあるそうです(出張でお目にかかったことはありません)。 ここのエンジンも支那と同様に、日本に流れてきているという話です。
WIN120はタイガー製?という話もあって聞き捨てなりません。 支那だと思っていたのに泰国だなんて(どっちが良い悪いはないですが)。 本当のところは、どうなんでしょうね?
ググってもなかなか見つからないのですが、たとえばこんなヤツだそうです。
【goobike】 タイガー・125で行く! 関西エリア 大阪府・大阪市内 ツーリング情報
■SPECIFICATIONS
全長×全高 1,940×1,250mm
ホイールベース 1,240mm
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
排気量/圧縮比 123.72cc/9.0
ボア&ストローク 54.0×54.0mm
車両重量 102kg
ブレーキ ディスクブレーキ・ドラムブレーキ
タイヤサイズF・R 2.75/80-16・3.25/80-16
ノーマル新車価格 19.9万円
ボア・ストロークが Φ54×54mmというのも独特ですね(武川とかキタコみたい)。 WIN120エンジンとはだいぶ系統が違うような気がします。
さらにググると、日本貿易振興機構(ジェトロ)のアジア経済研究所のレポート「中国の台頭とアジア諸国の機械関連産業」にヒットしました。 「タイガー」というのはブランド名で、会社名は MILLENNIUM MOTOR CO.,LTD というらしい(設立が2000年だからミレニアム)。
タイガーのミレニアムモーター社は、2000年に300万バーツの資本金で設立された。創立者のピティ・マノマイビブン氏は、彼の父親が川崎重工業との合弁で設立し、一族で過半数以上の株式を保有していたタイカワサキモーター社(現カワサキモーターエンタープライズ社)の社長を務めた経歴を持つ。同氏は1997年の通貨危機の影響による国内販売の不振と、川崎重工本社の方針転換等の理由により、1998年に経営から手を引いた。その後、世界銀行のコンサルタントとして二輪車の大気汚染防止プロジェクトに参加するなど二輪車ビジネスに関係し、2000年に義父であるブンソン・シーファンフン氏(Mr.Boonsong Srifuengfung、タイ旭硝子、グッドイヤー社等を保有するシーファンフン財閥のオーナーであり中華総商会の会頭を務める華人有力者)から3億バーツもの支援を受けてミレニアムモーター社を立ち上げた。
なるほどね。 で、このレポートの中に気になる一文が。
しかし、国内市場における激しい販売競争や近い将来参入して来るであろう中国製品を迎え撃つ対策として、安い中国製部品を導入する企業や(タイガー)、低価格商品を市場に投入するとともに中古二輪車の販売を強化する企業もある(ホンダ)。
ということで、「Smart」という低価格モデルは支那部品が多く使われているようです。 結局、出所は支那なのかも。
ここのレポートは面白いね。 「アジアの二輪車産業-各国二輪車産業の概要」というレポートの、中国の二輪産業を分析した章も興味深いです。
第4章 中国の二輪車産業― 巨大ローエンド市場がもたらした地場企業中心の発展
政府のリスト(目録)に登録されている「車種」は膨大な数に上り、2001年末には1万8000車種にも上った。これらの車種の大半は、日本企業(一部台湾企業)が中国に投入したオリジナル車種を、リバース・エンジニアリングでデッド・コピー(模倣)したり、部品にマイナーな設計変更を加えて改造したものである。オリジナル車種を提供する日系企業の市場シェアは数%に止まる。特にCG125、C100(それと類似したCD70)、GY6(以上の全てはホンダがオリジナルを開発した)のコピーや改造版が生産の半数を占めると業界では見られ、それらの系統のエンジンを起点に、既存の車体を改造して独自性を出すような開発が地場企業によってなされている。技術的に「同質性」が強い多数の企業が、似たり寄ったりの製品をリリースしているのである。
儲かるとなると、みんな同じ商売を始めるのが面白いところ。 玉石混淆とはよく言ったものです。
いろんな仕様のエンジンがあって、どれに当たるかは腰下割ってみないと分からないのが、支那の魅力でしょう。
個人的にはNICE110/Wave110との互換性が高い仕様が利用価値が高いですが、KSRの血が入った”ホンダエンジンの限界を超える”エンジンが魅力的という考え方もありますね。