よく280度カムなどという表現をしますが、これは何を意味するのでしょうか?
答えは、カムシャフトがバルブを開いている間の角度(作動角)のことです。
例えば、SP武川のR-15カムのスペックは、以下のようになっています(バルブ1mmリフト時の値)。
IN 開   BTDC10°
  閉   ABDC40°
  LCA   ATDC110°
  リフト 7.0mm
EX 開   BBDC40°
  閉   ATDC10°
  LCA   BTDC105°
  リフト 6.7mm
この場合、INバルブはクランクシャフト上死点手前10度で開き始め、下死点を40度過ぎて閉じます。 この間を作動角といい、R-15の場合は230度ということになります。
EXバルブも下死点手前40度で開き始めて、上死点を10度過ぎて閉じますから、作動角は230度です。
ここで注意しなければならないのは、クランクシャフトの回転で表現しているということです。 4ストロークエンジンは、クランクシャフトが2回転で1サイクルです。 よってカムシャフトはクランクの半分の回転数で回ります。
クランクで230度なら、カムでは115度ということになります。
ちなみに、INバルブの開き角度とEXバルブの閉まり角度の間隔(つまり両方のバルブが開いている期間)を、オーバーラップといいます。	このカムの場合は、オーバーラップが20度ということになります。
LCAは Lob Center Angleの略で、カム山のピークの角度を表します。 作動角の中間になることが多いですが、ピッタリ同じとは限りません。
ただ、メーカーによってはバルブが1mmリフトした時の値ではなく、カムシャフトの設計値の角度で表現している場合もあるので注意が必要です。 オークションなどに出ているメーカー不詳のカムは、だいたいこちらだと思います。 上述のR-15カムも、設計上の角度で表現すれば、作動角は230度よりもっと大きくなります。