日経エレクトロニクスの言い訳

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【MacBook Air分解:番外編】我々はなぜ「無駄だらけ」と書いたのか - 日経エレクトロニクス - Tech-On!

Tech-On!に掲載した記事「【MacBook Air分解その5】外は無駄なし,中身は無駄だらけ」は,我々の予想を超えて多くの読者に読んでいただいた。そのこと自体は記者にとって望外の喜びである。だだし記事のコメントなどを読んでいて,読者の一部に我々の意図がうまく伝わらなかった懸念を覚えた。Apple社の話題を取りあげると熱狂的なコメントがつくことが多いので,しばらく静観していたところ,米Wired誌のブログ(日本語訳はこちら)で取り上げられて話がややこしくなった。Wired誌の記者はとんでもない勘違いをしているように思える。我々記者や記事に登場する技術者がApple社に嫉妬したり,同社を侮辱しているととられたならば,大間違いである。

別にほっておけばいいんじゃないかと思うけどな。 理解力のない読者は。

でも面白いから取り上げます。 まずは例のキーボードを固定する30本のねじについて。

ネジが増えると組み立て工数が増え,ミスの誘発やコストアップにつながる。利用中に万一はずれたときに回路の短絡の原因になる危険性がある。たとえば堅牢性を実現したいのなら,機構上もっとよい方法があるはずというのが彼らの見解だった。もちろん,Apple社がそのような設計をしたのには,それなりの理由があるはずである。出荷時期を優先したのかもしれないし,キーボードなどの操作感の向上に一役買っているのかもしれない。初期の出荷分だけがこのような構成で,量産が進むにつれて設計が変わる可能性も指摘された。
 
しかし,本体を分解した段階では,ネジの本数をこれほど増やす決定的な理由は見いだせなかった。キーボードの剛性の確保が目的なら他の手段がありそうなことから,少なくともコストの観点からは無駄な設計にしかみえなかった。

単に ThinkPad Roll Cage のような技術がないから、ブルートフォース的解決方法でキーボードの剛性を出しただけじゃないかと予想しますがね。

次にWiredへの恨み節。

ちなみにWired誌の記事には,我々が書いていないことまで書いてある。「there's definitely extra space in there, which is strange considering that it's the world's thinnest in-production laptop. (Wired誌の日本語版の訳:内部には明らかに余分なスペースがあり、これが、現時点で製造されている世界で最薄のノートパソコンだと考えると奇妙なことだというわけだ)」とは,いったい原文のどこから読みとったのだろうか。Wired誌の日本語版の記事には,「リンクをはった記事(=Tech-On! の元の記事)からは、『内部には明らかに余分なスペースがあり』というワイアード記者の文章に対応する部分は見つけられなかった」との但し書きがあるが,英語版はそのままである。しかも,英語版の当初の記事は,宇野記者を技術者として紹介していた(現在は修正されている)。Tech-On!が掲載した英訳記事のニュアンスの問題かもしれないが,そうだとしても日本語の原文を読んだ上で記事を書くのが記者の基本だと我々は考えている。

昔、Hot Wiredが消滅してそれっきりかと思っていたんですが、WIRED VISIONというサイトがあるのを初めて知りました。 問題になっている記事はこちら

で、このあともグダグダと言い訳が続くんですが、

リンク先の文章を読んでもらえば分かるように,実は筆者自身が相当Apple社の製品に入れ込んでいる。だから,Apple社を非難する(と読める)記事に,反論したくなることはよく分かる。ただし,「秀でた体験をもたらす製品が,ハードウエアの設計も優れているはず」との意見には同調しかねる。むしろ, Keys記者も指摘するように,必ずしも技術が先鋭的でなくても,ねらった体験を生み出せればよいというのが,MacBook Airの分解結果から伺えるApple社の姿勢だと判断している。技術は実現手段にすぎない。設計の無駄のなさよりも,ユーザーの喜びの方が大事なのである。

あらら。 同胞から非難されたのが、よほど堪えたようですね。

「設計の無駄のなさよりも,ユーザーの喜びの方が大事なのである。」という意見には同意します。 だけど同じ程度の「ユーザーの喜び」が得られるなら、「設計の無駄」は少ない方がいい。 というか「設計の無駄」が即そのまま「ユーザーの喜び」につながる訳ではないよね。
「一見、非合理的でもそれがユーザーに喜びを与えるなら、無駄ではない」というべきでしょう。

で、例の30本のねじはどっちなの?