普及前夜の燃料電池(第4回)素材巡る攻防が水面下で激化 - ECO JAPAN〈エコジャパン〉 - nikkei BPnet 環境ポータル
フッ素系陣営に対抗して登場してきたのが、炭化水素系の電解質膜だ。炭化水素系樹脂はフッ素を含むものに比べ一般的に耐久性に劣るが、フッ素を使わない分、原料費が安く、コストが下がる可能性が高い。
ホンダは2006年、燃料電池車「FCX」に炭化水素系の電解質膜を採用したことを明らかにした。ホンダとJSRが共同開発したものだ。両社はこの膜を使い、-20℃での始動と95℃での高温運転を実現した。
従来、炭化水素系樹脂は疎水性があり、電解質膜に向かないとされてきた。JSRは炭素原子と水素原子の結合体の中に水分子が抱え込まれるような分子構造を設計し、常に膜に湿度を保てるようにした。
JSRの佐藤穂積常務は、「ホンダとは既に大量生産した場合のコスト削減幅を試算している。廃車後の燃料電池の処分を考えても炭化水素系に利点が多い」と自信を見せる。
原材料コスト以下にはどうやっても落とせないワケですから、技術的な難易度は高くとも安い原材料で実現する方が見込みがありそうです。
他にも
一方、金属セパレーターを製品化し、ホンダのFCXへの採用を実現したのが住友金属工業だ。同社は、従来とは全く違う発想で金属セパレーターの性能を高めた。
腐食に強いステンレスを採用した場合、表面に電気伝導性の低い皮膜ができる。金めっきすれば電気伝導性が高まるが、材料費が高くてコストが下がらない。
そこで、ステンレスに微量な不純物を混ぜ、表面に電気伝導性の高い析出物を生じさせた。これで実用に耐える電気伝導性を確保できた。普通のステンレスは析出物をなくすよう努力する。逆転の発想だった。
薄さに関しては、炭素製の場合0.3mmが限界だったのに対し、住友金属が0.2mm以下まで薄くし、優位を保っていた。だが、東海カーボンが炭素製で0.13mmまで薄膜化したサンプルを発表、拮抗してきた。
現在、自動車向けに関しては、振動や衝撃などでも割れない金属製セパレーターが採用される方向にあるが、炭素製も強度を上げている。
ある自動車メーカーのPEFC開発責任者は、「セパレーターは炭素製も金属製も進歩が著しく、どちらかに決める段階ではない」と漏らす。
ステンレス製ならプレスで作れるから、量産向きですけど、炭素製に比べると重いんでしょうね。 三井ハイテックなど、ICのリードフレームを作っている会社が持ってる技術が生きそうです。
FCV一台あたり100g(約50万円)も使われるという白金についても、代替技術が見えつつあるということで、今後も原価低減と性能向上が続きそうです。