ビッグスリーが破綻した場合の影響

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米政府の支援策を待ちわびるビッグスリー:NBonline(日経ビジネス オンライン)

・デトロイトのビッグスリー全社が2009年に操業を停止した場合、米国では初年度に300万人近い労働者が失業することになる。その内訳は、3社の従業員が23万9341人、自動車部品供給業者などの下請け企業の従業員が97万3969人、こうした失業者の消費減に伴う失業者が170万人超である。2010年と2011年には、外資系自動車メーカーの米国内での生産の増加や、失業者の再就職により、雇用情勢はいくぶん回復する。
 
・ビッグスリーの1社か2社が破綻するシナリオでも、2年目と3年目には若干の改善が見られるものの、初年度の国内失業者数は250万人近くに達する。これは主要自動車メーカー1社の倒産でも財務体質が脆弱な複数の自動車部品メーカーが連鎖倒産し、生き残った自動車メーカーも生産活動が停滞するためだ。
 
・経済への影響として、ビッグスリーの生産活動が半減した場合の個人所得は、初年度は1251億ドル(約12兆5000億円)以上減少、3年間では2757億ドル(約27兆6000億円)を上回る減少となる。
 
この報告書を共同執筆したCARのデビッド・コール所長は、自動車産業の救済に懐疑的な議員や国民に対し「自動車産業が崩壊した場合の損失は、業界が求めている250億ドルというつなぎ融資の額をはるかに超えるものだと認識すべき」と主張する。

今のデトロイトスリーは、まるで重力崩壊を始めた赤色巨星みたいなものです。 最終的にはブラックホールと化すのでしょうね。
常々、バブル経済って積乱雲の形成に似ているなぁと思っているのですが、人間の経済活動も自然の摂理からは逃れられないのでしょうね。

ところで政府によるデトロイトスリー救済は、米国でも賛否両論のようです。

自動車産業支援の推進派は、ビッグスリーが政府支援を必要とするのは2010年半ばまでだと語る。その頃になれば、コスト削減に向けた全米自動車労組(UAW)との新協約の効果が表れ始める。自動車販売もいくぶん回復しているはずだという。2010年以降は、自動車業界が融資を返済し始める態勢も整うとCARのコール所長は語る。
 
「ビッグスリーは、積極的に事業再編を進め、余剰生産能力や、長年の利益圧迫要因であった医療費負担の削減を図ってきた。景気が上向いてきたら、これまでにない巨額の利益を生み出せる体質が整っている」(コール所長)

一方、反対派の主張は、

CEIのサム・カズマン首席法律顧問は、「議会が国内自動車メーカーを優遇すれば、米国民の税金を無駄遣いし、自動車メーカー間の競争を歪めることになる。この先、別の産業が公的救済を求める前例にもなりかねない。議会が自動車産業を支援したいのなら、取るべき最善の策は、昨年12月に可決した新エネルギー法の厳格な燃費効率基準を撤廃することだ。ガソリン価格が下がる中で燃費効率化を義務づければ、さらに大きな業界の足かせとなる。燃費効率基準を満たすため、耐衝撃性を犠牲にした自動車の小型化が進められ、自動車事故での犠牲者も増えることになる」と批判する。

どっちも間違っていると思うけどな。

2010年に自動車販売が回復している保証はないし、回復していたとしても3社が今の形で残っていることはないでしょう。 生き残りで精一杯で、体質強化でV字回復なんてムリというものです。
だいたい、「今が底で、これより悪くなることはないだろう」とみんなが思っているうちは、まだまだ状況は悪化していくものです。

燃費基準を緩和しても、日本メーカーが付き合って燃費が悪いクルマを出してくれる訳ではないです。
一度、消費者に根付いた「ガソリン高騰の恐怖」は、そうそう簡単には払拭できないので、同じタイプのクルマなら燃費がいい方を購入するでしょう。